記者説明会に参加。例の半導体スイッチが開になった原因は地上設備からのノイズということで、対策できたとのこと。安心した。厄介そうな現象だったがよく突き止められたなと。ロケットエンジニアはやはり凄い。
https://www.jaxa.jp/press/2023/03/20230303-2_j.html
細かく言うと、ロケットはX(離昇)-170秒で電源が内部電池に切り替わるのだが、それ以降でも万一のときにいつでも停止できるよう、地上設備とアンビリカルで接続されていて、給電と通信の線が電気的につながっている。X-6.3秒で第1段エンジンに着火して推力が規定通りに立ち上がると「打ち上げ条件成立」となり、ここでアンビリカルの電気的接続が遮断される。今回の問題は、この遮断の際に複数ある電源線・通信線を一斉にオフするシーケンスになっていたため、過渡現象によるノイズが複数の線で同時に発生し、これが第1段制御機器に入り込んでFPGAを誤作動させ、内部電池とエンジンコントローラをつなぐスイッチを開にしてしまったという現象だった。
よって、アンビリカルの複数の配線を一斉ではなく時間差を付けて遮断するようにして、過渡現象によるノイズが重なり合わないようにする対策がとられた。
過渡現象の身近な例は、家電製品の電源をオンにしたままでプラグを抜くと火花が飛ぶというあれ。回路の中にあるコイル(インダクタンス)は磁場の変化率に比例する逆起電力を発生させるという電磁誘導の法則により、いきなり電流をカットすると大きな逆起電力が生じる。
打ち上げウィンドウは3/6(月)10:37:55-10:44:15 JST。天気予報が曇りっぽいが、無事に上がって欲しい。日本の宇宙開発の次の20年を担う基幹ロケットだし、まあ上がるでしょ、という気持ちと、試験機1号機なのでこれからもしばらくはいろんなことが起こりうるし、あんまり一喜一憂してもしょうがない、冷静に長い目で見守りましょうという気持ち。
共同通信の例の人は今日もいなかった。JAXA関係にはもう来ないのかな。