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床の修理

数年前から、玄関から廊下に上がる部分の床が1cmくらいガコガコ沈むようになっていた。時間ができたので思い切って修理。

築50年近い実家だが、床下に入ったことは一度もない。おそらく父も母も。20年前に台所をリフォームして床下収納を作ったので、そこから入れるのではないかと思い、中身を全部出して収納箱を外したら、やはり床下点検口を兼ねた作りになっていた。ラッキー。

しかし床下が汚い。ベタ基礎ではないので下は地面だが、凹凸が均されておらず、大きな石が残っていたり、工事の際に出た木片がたくさん放置されていたり。これはシロアリを呼ぶので大変良くない。一番腹が立ったのは、当時の大工が飲んだと思われる空き缶の類がたくさん残っていたこと。ひでぇな。高度成長期に造成された宅地って、こんな感じで雑に建てられたところが多いのかもしれない。

這って進むしかないので、新聞紙を敷きながら玄関の裏まで匍匐前進。母に上から踏んでもらうと、床が動く理由が分かった。

動画は廊下の下から玄関の裏側を見たものだが、床板が乗っている最も玄関側の根太(際根太?)が何と、左右の根太掛けから浮いている。ではどうやって床板の荷重を支えているのかというと、際根太は奥の玄関框の材に釘で打ち付けられてくっついている! この釘が経年の劣化で利かなくなり、際根太と床板がもろとも上下してしまっている状態。

なんで際根太が根太掛けに乗っていないのか謎すぎる。実はこの廊下も過去にリフォームされているのだが、リフォーム工事で元の床板を剥いだときに元の際根太も取っ払って交換しようとしたものの、本来の根太(動画の手前側に映っている)と同じ高さの材がなかったのでやむなくこうした、とかだろうか? 意味不明すぎる。

ここは玄関から上がってすぐの場所なので、家の動線の中で最も頻繁に人が通る部分である。その床板を釘4本だけで支えてたら、そりゃあダメになるだろう。リフォーム業者の手抜きか。

浮いた際根太と根太掛けのすき間に何か詰めれば直るが、それだけだと廊下の真ん中がしわむ気もしたので、床板とコンクリ基礎の間に束のような角材を何本か入れて支えることにした。

これで床は沈まなくなった。応急処置だが、まあ素人が金をかけずに何とかするならこんなもんだろう。

床下を見る機会はあまりないので、いろいろ動画に撮っておいた。スマホでこういう撮影ができるのは本当にいい時代。

これが床下に残されたゴミ。プルトップ時代の空き缶やオロナミンCの空き瓶、材木の切れ端や削り屑などがたくさんある。いやー、今の感覚でこれはないでしょう。現代の施工でこういうことはないと思うが、昭和40年代はこういうのが当たり前だったんだろうか。家を買うときには床下を見た方がいい。マジで。

これは床下点検口のすぐ脇、台所の床下だが、根太が何本か中途半端にぶら下がっている。台所をリフォームした際に床板も張り直しており、新しい根太はちゃんと存在しているのだが、その隣に古い根太?がぶら下がっているようだ。3本くらいこんな状態なので、地震などで片方だけ落ちたわけではなく、この状態のままで新しい床を張った感じがする。これも意味不明。床を全面張り替えているのに古い根太を除去できない理由があるとは思えないが。なんかこれも手抜きかしら。

今回補強した玄関ウラのコンクリ基礎の上にあった木材。玄関框を裏から支えるものだろうか。色からしておそらくリフォーム前のオリジナルの材だと思うが、表面は一見しっかりしているようで、指で押すとボロボロ崩れる。外はサクサク、中は中空という感じ。シロアリですかね…。まあ築50年であちこち歪みも出ている家なので、食われていてもおかしくはないが。母親がこれを見てショックを受けていた。どうしたものか。

床下に転がっていたゴミの一部。プラスチックのコップ。ライオンの歯磨き「ホワイトアンドホワイト」のロゴだろうか。大工が使ったのかしら。

空き缶。プルトップ時代なので、リフォーム工事ではなく新築当時に放置されたものだろう。床下に5、6本転がっていた。ひでぇよなー。

コカコーラのようである。今のコカコーラは単なる赤色だが、昔はメタリックレッドだったらしい。「★THE COCA-COLA COMPANY 認定」の文字が読み取れるので、1973年製造のこのタイプの缶であるようだ。

というわけで、嬉しくない発見がたくさんあった。家の床下は一度見た方がいい。

クフの大ピラミッドの空洞

NHKの報道などしかなく、調査をしているScanPyramidsプロジェクトからプレスリリースがまだ出ていないが、ScanPyramidsの運営にたずさわっているHIP.instituteから新しい動画が出ていて、状況を把握できた。

大ピラミッドの未知の空間は2つあるらしいことが分かっていた。ScanPyramidsのリリースから、これまでのおおよその時系列は以下の通り。

  • 2015/11:サーモグラフィーで、北面にあるピラミッドの「正規の入口」(ふさがっている)の切妻構造周辺で温度分布の異常を発見(HIP.i、カイロ大)
  • 2016/10:ミューオグラフィーで「正規の入口」の裏側に回廊状の細長い未知の空間があると結論。名古屋大チームは下降通路にミュオン検出乾板を置いて透視。フランス・代替エネルギー・原子力委員会 (CEA) のチームは大ピラミッドの北辺・東辺にミュオンガス検出装置を設置して外から透視。KEKのチームは「王妃の間」にミュオン電子シンチレーターを設置して透視。3チームとも、「正規の入口」裏の空間が原因とみられるミュオンの超過を検出。超過は5σ以上。この空間は「SP-NFC (ScanPyramids North-Face Corridor)」と命名された。
  • 2017/11:ミューオグラフィーにより、大回廊上部にも長さ30m以上の巨大空間があると結論。王妃の間に置いた名古屋大の乾板とKEKのシンチレーター、ピラミッド外からのCEAのガス検出装置でいずれも検出された。この空間は「SP-BV (ScanPyramids Big Void)」と命名された。

ここまでの話は広く公表されていたが、その後、2019〜2020年にかけて、名古屋大とCEAがミュオンを使った追加調査を下降通路で行い、SP-NFCの正確な位置・サイズを推定した。2020〜2022年にかけてはカイロ大・ミュンヘン工科大のチームが切妻構造の表面から地中レーダーと超音波探傷装置を使ってSP-NFCを調査した。

今回、このレーダーや超音波の調査によって切妻構造の石材の下部に小さな開口部が発見され、φ5mmという内視鏡を入れてSP-NFC内部の撮影に成功したということらしい。カイロ大・ミュンヘン工科大チームの論文では「小口径のボーリング孔を開けることを提案する予定」とabstractに書かれているが、開口部を発見したことでボーリングしなくて済んだのかというところまではちょっとよく分からない。内視鏡の映像を見ると、空間に到達する手前は人工的に開けた穴を通っているようにも見える。

約200年ぶりに新たな空間が見つかったことも凄いが、ミューオグラフィーの信頼性がこれで確認されたことは相当大きな成果だといえる。名古屋大チームが論文を出したとき、考古学界では「なんも知らん物理屋が荒唐無稽なことを言ってやがる」的な反応もかなりあったようだが、SP-NFCが実際に存在したことで、大回廊に匹敵する長さ30m以上というSP-BVの方も存在の可能性が一気に高まってきた。

SP-BVは部屋というには大きすぎるので、未盗掘の財宝やミイラが眠る部屋というよりは、重量軽減のための機構と考えるのが自然かもしれない。ともあれ、そっちも中を見てみたいに決まっている。SP-BVの今後の調査にも大いに期待。

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