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「星ナビ」2023年10月号

今回は記事というほどでもないですが、「飲み星食い月す」のコーナーにて、みどり製菓の琥珀糖「星のたより」を紹介いたしました。よろしければご覧ください。

元々はうちの近所のファミマで「星のたより」が売られていて、『飲み食い』のネタ提供として編集部に送ったら「文章も書きませんか」と言われて書いたもの。美味いです。

このファミマはオーナーさんの趣味なのか、ファミマなのになぜか全国の名産品をたくさん仕入れて売っている。「星のたより」は全国的にも人気らしく、このファミマでも入荷してわりとすぐに売り切れてしまった。今は夏限定の「星のたより 涼菓」というのがまた入荷している。季節限定のやつはフレーバーがいつもとちょい違うらしい。

「Newton」2023年10月号

特集「ChatGPTの教科書」を一部執筆いたしました。よろしければご覧ください。

7月号の特集「ChatGPTの衝撃」がかなり反響が良かったらしく、編集部内で第2弾をやりましょうとなったらしい。LLMや生成AIに関してはまさに日進月歩で新しい話題が尽きないので、今回は基本事項よりは最新情報をまとめた感じになった。

最近は自分も、海外のwebサイトの翻訳や要約にChatGPTを使うことがある。あとは話し相手になってもらうとか。「これこれって結局どういうことなの?」「こういう意味で合ってる?」みたいな。ただ、よく言われることだが、いわゆる検索サイトに近い用途にはあまり使えないので(嘘をつくので)、そういう使い方をする場合は裏取りをきっちりしないと危険。こちらからデータを与えて加工してもらう、みたいな用途の方が適している。つまり、俺が知らないことを尋ねて教えてもらうというよりは、「俺でもできなくはないけど労力的にメンドい」という作業を代わりに頼む、みたいな使い方に適している(そういう使い方に限った方が無難)。

調べ物ならBing AIの方が出典を示してくれるのでよい。

ロッキング・オンとNHK

来年からRIJFESがひたちなか海浜公園に戻る(蘇我とひたちなかでやる)話を最終日に発表するはずが、NHK水戸がフライング報道してしまった件で、渋谷陽一が怒っている。

RIJFESはCOVID-19で2020年は中止、2021年は対策をした上での開催を予定していたが、茨城県医師会が中止を要請してこの年も中止。2022年からは千葉市蘇我スポーツ公園に移転して開催された。この蘇我移転を決めた際にもNHK水戸がフライング報道しようとして、それはやめてくれとロッキング・オンが申し入れてフライングはされなかったものの、NHK水戸のデスクがそのことへの意趣返しとして今回フライングを強行したのでは、という渋谷氏の想像が語られている。

数日後には公式発表されるであろう、そこまで速報にニュースバリューがあるとも思えないネタを、新聞・テレビがフライング報道して公式発表を台無しにする、という場面は、私の短いライター経験の中でも目にしたことがある。オールドメディアの価値観はあまり理解できないのだが、他社より1秒でも早く報じたいという商売上の動機と、「これは国民の「知る権利」の行使であり、そのために送り手と受け手のお楽しみが壊れようが知ったことではない」という「暴力的な正義感」が彼らの行動原理にある、とは感じている。

現実の作法としては、フライング報道して欲しくないネタは報道解禁日時を設定した上でプレスリリースをメディアに配布するのが普通だと思うが、今回ロッキング・オンは明示的に報道解禁日時を設定していたわけではないようである。(ITmediaの報道で当初「解禁日時を設定していた」としていたのが後に訂正されたところを見ると、文書での明示的な解禁日時の設定はなかったように見える。)

【修正履歴:8月10日午後7時45分 掲載当初、開催場所の発表について解禁日時の設定があったと記載していましたが、外部からの指摘を受け再度確認し、事実に基づいて記述を修正しました】

ロッキン、NHK報道に抗議 「約束を台無しにするリーク報道は迷惑」 総合Pが怒りの声明【修正あり】 – ITmedia NEWS

まあとりあえず、今回のことだけを見るとNHKひどいなと思うわけだが、一方で、自分たちの論理を押し付けてきたという意味ではロッキング・オンもたいがいひどい、という話も思い出した。

ロッキング・オンは自社の雑誌で取材対象者にゲラのチェックをさせないという話がある。メディアは取材対象者の広報機関ではなく、メディア側に編集権というものがあるので、自由権の一種としてゲラを事前チェックさせない権利があるというのは分からなくもないのだが、「載せてやるから金払え」という実質的な記事広告であってもチェックをさせないという証言がある。

掟 そういえばロッキンオンっていうクソ雑誌があるんですけど、あいつら広告費でページを買わせるくせに原稿の直しには一切応じないんですよ。以前ロマンポルシェ。でインタビューを受けたんですが、取材に来たのが学生あがりみたいなアンちゃんで話全然理解出来てないし、写真撮影は使い捨てに毛が生えた程度のカメラでやってるしで、あきらかにナメられて。どんな記事になるのかすごく心配だったので、ゲラ(※入校前の原稿のこと)がどうなったか当時のマネージャーが編集部に電話したんです。そしたら「うちはゲラチェックとか基本的にやってないんで」、「うちは尾崎がゲラチェックさせろって時もさせませんでしたから」って、平然と言われたらしくて。いやいやいや、お前ら今、尾崎豊が俺達よりも遥かに上の人みたいに言ってるけど、俺は尾崎より自分を下だと思ったことはないし、第一そんなもん理由になんねえから。ふざけた会社だなと。それ以来、ロッキンオンの印象と共に、尾崎豊の印象も悪くなったんです。その時の怒りがすべて尾崎豊に行っちゃったんですね。尾崎ファンの皆さんすいません。これはすべてロッキンオンが悪い!

ロマンポルシェ。(’10年4月号) – インタビュー | Rooftop

こういうのを思い返すと、これまでさんざん「取材者の論理(正義)」を押し付けてきたロッキング・オンが、いざ自分たちが取材される側に回った途端に「取材者の論理(正義)という横暴」を非難するというのは、なんだかなぁ、と鼻白む感がなくもない。

なお、自分のお付き合いのある雑誌では、取材者にゲラをチェックしてもらうのは普通にやっている。事実誤認や取材者(私)の誤解があるかもしれないし。ただ、事前チェックはしてもらった上で、最終誌面をどういう文言にするかは編集部が権限を持っている。そんな感じです。

「Newton」2023年9月号

写真記事「渦巻く惑星—木星」を執筆いたしました。よろしければご覧ください。

木星のガリレオ衛星のうち、イオを除く3個には内部海があると言われている。土星の衛星エンケラドスでも水の噴き出しがみられ、今回監修していただいた関根先生によれば、エンケラドスに内部海があることは「ほぼ確実」ではなく「確定」と言いきってよいレベルらしい。なので、2020年代後半から2030年代の太陽系探査では内部海天体がアツいぜ、というような話を書きました。

ようやく納品して一息つく。毎度毎度日程を圧迫してしまって自己嫌悪に。

Whisper Transcription で文字起こし

今売りの「Newton」の記事をやるにあたり、初めて文字起こしにツールを使ってみた。zoom取材のレコーディング素材(mp3)を、hoiさんから教わった Whisper Transcription に読み込ませてテキスト化。

言語モデルのサイズとして Small / Medium / Large とかいろいろあって、大きい方が変換精度が良いらしいが有料。自分はSmallと Mediumを使ったんだったかな。あと、メモリが少ないPCで大きな言語モデルを選ぶとメモリ不足という表示が出る。

変換精度は、確かにSmallよりはMediumの方が良かったが、Mediumであってもそのままで何かに使えるほどのテキストにはならない。専門用語が多く出るインタビューだったせいかもしれないが。例えばこんな感じ。

両子力学は神ですら決定できないというよりは
両地域は完全に決定論なのである意味では 例えばあの
単に人間が見る観測に対して ベースが同じじゃないというかその
例えば初期状態のいわゆるウェインファンクション ステイトっていうのを与えられるれば
そのステイトがどういうふうに変わっていくかっていうのは あのシュレリンが方程式方程式で解いて完全に決められるので
あーなるほど安全知識があれば完全決定論なああそこかはいはいはい で昔は最後に観測をするとそのうちのどれか一つか
あのはい決まってそれを確立でしか決まらないっ いうのもあったんですけど今では例えばその自分もシステムの一部だった
例えばAになる可能性とBになる可能性があるとしたら、自分がそのシステム、そのスーパーポジションというシステムと相互作用したら自分がAを見たっていうふうな脳の
シナプスというかそういう記憶になっていくブランチとBになっていく記憶っていうブランチがある。しかもそのスーパーポジションが残ってるというまんま進んでいくだけで
ああしかも全部それは計算できたのたん ステートはそのまま流れてるだけ
はい別になんか途中でインタビーが入っ 確率でこっちに行けとこっちに行けとそういうのが入っているわけじゃなくて
完全に初期状態からたんに計算してたんに動いてる アテっていう意味ではニュートまったく変わってない
あーなるほどはいはいはい

自分の場合は、どういう話をしていたかを思い出せる程度のメモが生成されれば十分なので、これでも全然使える。1時間くらいのインタビューを処理するのに10分くらいかかっただろうか。自分で全部聴いて起こすよりははるかに楽。これからも使っていきたい。

メモリを増設したいけど、Mac mini (M1, 2020) は構造的に増設できない。泣。

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