hoshinavi

『星ナビ』2023年12月号

忘れていましたが、11月4日発売の『星ナビ』最新号で、NASAの小惑星探査機「オシリス・レックス」のカプセル帰還・開封についての記事を書きました。よろしければご覧ください。

「はやぶさ2」が持ち帰った小惑星リュウグウの試料は5.4gだが、今回「OSIRIS-REx」が持ち帰った小惑星ベンヌの試料は推定で200g以上。これまでに70.3gを回収したが、試料の大半が入っている「採取ヘッド」が引っかかって開かず、まだ全量の回収には至っていない状況。

試料が地球大気で汚染されないように、開封作業は窒素ガスを満たしたグローブボックスの中で行われている。このグローブボックス内では大きな工具は使えないし、試料に熱や衝撃を与えて変質させるリスクも避けたいということで、開かないから電動カッターで切りましょうとかドリルで穴を開けましょうというわけにはいかないようだ。取り出し方法のメドが付くまで、採取ヘッドはいったん別の気密バッグに移されたとのこと。

「星ナビ」2023年10月号

今回は記事というほどでもないですが、「飲み星食い月す」のコーナーにて、みどり製菓の琥珀糖「星のたより」を紹介いたしました。よろしければご覧ください。

元々はうちの近所のファミマで「星のたより」が売られていて、『飲み食い』のネタ提供として編集部に送ったら「文章も書きませんか」と言われて書いたもの。美味いです。

このファミマはオーナーさんの趣味なのか、ファミマなのになぜか全国の名産品をたくさん仕入れて売っている。「星のたより」は全国的にも人気らしく、このファミマでも入荷してわりとすぐに売り切れてしまった。今は夏限定の「星のたより 涼菓」というのがまた入荷している。季節限定のやつはフレーバーがいつもとちょい違うらしい。

「星ナビ」2023年7月号

にて、ユニステラの電視観望望遠鏡「eVscope」のユーザーが昨年9月のNASAの実験機「DART」による小惑星衝突実験を共同観測した成果について書きました。よろしければご覧ください。

「電視観望」(electronically assisted astronomy; EAA) とは最近流行っている天体観望のやり方で、望遠鏡を肉眼で覗くのではなく、接眼部にCMOSカメラなどを取り付けて天体像をリアルタイムで撮影・蓄積し、簡易的な画像強調などもリアルタイムでかけてPCやタブレット、スマートフォンなどの画面で画像を楽しむというもの。市街地では見えないような暗い星雲星団をそれっぽいカラーで、ライブ感をまあまあ損なわずに楽しめる。イメージセンサーやPC、モバイル端末の性能が劇的に向上したおかげでこういう手法が可能になった。

で、電視観望専用のデジタル望遠鏡というのも最近は登場していて、ユニステラが出している「eVscope」シリーズもその一つ。口径11cmのニュートン反射だが、光路を斜鏡で外に出して覗く形ではなく、主焦点にイメージセンサーがあって天体を撮影する。撮った画像はWi-FiでPCやモバイル端末のアプリに送られ、それを鑑賞する。あるいは鏡筒に擬似的に取り付けられた接眼部で、中に組み込まれているEVFに映し出された画像を「覗いて」楽しむ。

eVscopeは高い。ニコンと提携していてニコンダイレクトなどでも買えるが、30万〜50万円台である。

普通の口径10cm級の反射望遠鏡は、中国メーカーであれば架台込みで5-6万円でも買えるので、そういうのに比べるとすごく高い。

その価格差を補って余りあるユーザー体験としてユニステラが提供しているのが、eVscopeを使うと「市民科学」に簡単に参加できますよ、という付加価値。天体導入と撮影が自動化されているので、小惑星による恒星食とか系外惑星の観測とか、これまではアマチュアでも上級者しかできなかったような「科学としての観測天文学」が、アプリをポチポチするだけで楽しめる。観測結果も簡単にメーカーサイトにアップロードでき、メーカーと提携しているプロの天文学者が、集まった画像を解析して成果をまとめてくれる。重要な成果が出れば論文にもなる。今回のDARTの観測も、衝突された小惑星の光度変化などが世界中のeVscopeユーザーによって観測され、論文が「Nature」に載った。観測した各ユーザーがちゃんと論文の著者になっている。

…というような話を、ユニステラのCEOや観測に参加したユーザーの方々に取材した記事になっております。

天体が放射した光子を直接自分の網膜で受けるという部分に価値を見いだす人は「電視観望なんて」と言うかもしれないが、画面で見られるので一人ずつ覗かなくてもいいとか、自動でスタックされるので暗い星雲も写真に近いイメージで見えるとか、メリットもたくさんある。加えて、アマチュアにも本物の科学に貢献できるというのは楽しい。

『星ナビ』2023年2月号

にて、「はやぶさ2ミッションレポート」をまた久々に書きました。リュウグウ試料の初期分析結果が続々と出ているが、2022年後半に出た分析結果をまとめて掲載。リュウグウ試料の主成分はほぼ「黒い粘土」ということになりつつあるようだ。

初期分析とは別に、リュウグウ試料を使った国際公募研究も始まっている。その一例として、JAEA 原子力研究所で行われているリュウグウ試料の元素分析の現場を取材させていただいた。原子炉から出る中性子線を試料に当てると原子核の中性子数が1増え、即発ガンマ線というのが出てくる。これを使って元素の定量分析をするという手法。原子炉の炉心から100mくらいまで近づいたのは人生で初。

過去にいろいろな研究機関を訪れたが、JAEA はセキュリティがこれまでで一番厳しかった。入口には自動車爆弾などの突入を防ぐ鋼鉄のバリケードがあり、施設の正門や外観の撮影には厳しい制限があった。

『星ナビ』2023年1月号

年末恒例「星のゆく年くる年」にて、「ゆく年2022 天文学・宇宙開発編」を執筆いたしました。よろしければご覧ください。

JWST、EHT の Sgr A* 撮影、リュウグウ試料の分析、アルテミス I あたりが今年の大きな話題であった。もう年末かー。

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