• 32歳になってしまった(16進で)。今のようなよく分からない稼ぎ方をあと何年続けられるのか、稼げなくなったときにどう生きるのか、みたいなことをよく考える。とりあえず健康には気を付けよう。

  • 今年はツタンカーメン王墓の発見100年、シャンポリオンによるヒエログリフ解読から200年ということで、古代エジプトが熱い。

    高校生の頃にヒエログリフの本を図書館で見つけて少しはまったが、読み方はあまり身につかず、忘れていた。改めて、カルトゥーシュの名前くらいは読めるようになりたいと思っていろいろ検索。

    日本語で書かれたヒエログリフの解説は以下のウェブサイトの連載記事がまあまあ詳しい。本になるとも聞いたが、どうなったのだろう。

    古代エジプト語のヒエログリフ入門:ロゼッタストーン読解 | 未草

    王の名前のヒエログリフ表記は下記のサイトにまとまっている。古代エジプトのファラオは5種類の名前を持っているが、そのすべてを表記揺れまで含めて網羅していて便利。碑文や壁画に書くときのスペースの広さや装飾性を出したいといった目的の違いに応じてだと思うが、同じ王の名前でもいろんな書き方がありうることが分かる。

    Pharaoh.SE – The names of the Pharaohs

    5種類の名前のうち、即位名 (prenomen) と誕生名 (nomen) がカルトゥーシュで囲まれて書かれる。ツタンカーメンやラメセスなど、世界史に登場する王名は誕生名の方。碑文や壁画では両方並べて書かれることが多いが、スペースが少ない場合には誕生名ではなく即位名の方だけを書くことが多いようだ。ツタンカーメンでいうと、( 𓇋𓏠𓈖𓏏𓅱𓏏𓋹 )| トゥトアンクアメン ではなく、( 𓇳𓆣𓏥𓎟 )| ネブケペルウラー の方。

    ヒエログリフのアルファベット(1子音の文字)の一覧表はよく見かけるが、実際には2子音・3子音を表す文字も頻繁に使われ、表音文字としてでなく表語文字としての使い方や決定符(漢字の部首のようなもの)や送り仮名のような用法もあり、アルファベット表だけではあまり役に立たない。英語版 Wikipedia には、これほぼヒエログリフ辞典だろ、というくらいにそれらが網羅された記事があり、これも有用。ただし目的の文字を引くのが初心者にはなかなか難しい。字の形で探すしかないので。

    List of Egyptian hieroglyphs – Wikipedia

    上のサイトを見ると分かる通り、ヒエログリフの文字は今やすべて Unicode に収録されていて、コンピューター上で書くことができる。ただし、単に Unicode の文字を書くだけだと、𓈖𓄿𓎡𓄿𓈖𓍯𓏏𓄿𓂋𓍯 のように一列にしか書けない。実際には文字のサイズに合わせて上下2段(縦書きの場合は左右2列)に収めるような書き方をするのが普通で、そういう配置を可能にする制御文字も Unicode 12.1で定義されているが、対応している環境が少ないようだ。そうしたフォント・組版に関する情報。

    コンピュータにおける古代エジプト語ヒエログリフの実装 – Qiita

    配置まで含めて綺麗にヒエログリフを書くには、専用ワープロソフト JSesh を使うのがよい。画像での出力、Unicode でのペーストが可能。ただし自分の環境では、Unicode でのペーストは制御文字非対応で一列にしかならなかった。

    JSesh | JSesh

    https://href.li/?https://repository.dl.itc.u-tokyo.ac.jp/record/2000750/files/JSesh-Basic-Level_Nagai_v1.pdf

  • 初めて GINZA SIX という所に入り、その中の蔦屋書店を見た。かねてからツタヤ図書館の惨状などを見聞きし、CCC という企業の書店事業には全く期待していなかったが、ここの蔦屋書店では本に混ざってアートや雑貨も売られていて、なかなか面白かった。在庫の網羅性や売場の検索性がクソなので、特定の本が欲しいときにここで探して買おうと思うとほぼ不可能だが、未知の本や雑貨との出会いを期待して行くセレクトショップだと思えば楽しい。

    椅子やソファがたくさん置かれているので、座ってひと休みしたり本を眺めたり、という目的には良い。

  • 駅の自販機でもヤクルト1000が買えるようになっていた。1000だけ売り切れ。

    ヤクルト1000

    俺は普通のヤクルトを買ったが、取り出し口に3本あって一瞬躊躇した。自販機の取り出し口に余計な飲料があったら毒入りなので絶対に飲んではいけない、というのが昭和生まれの常識である。参考:

    よく見ると、普通のヤクルト2本とカロリーハーフ(蓋が青)が1本だった。カロリーハーフの方は前の客の取り忘れだろうと判断し、捨てておいた。自販機でヤクルトを買うと2本出てくることを知らない人もいるのかもしれない。

  • を2035年までに廃止するという報道が一部でされている。

    うるう秒、2035年までに廃止へ

    「うるう秒」の廃止が決定、2035年までにうるう秒の挿入は停止されることに

    日本語の翻訳記事は和訳の時点で誤訳が入りやすく、載せる媒体の関係者が非専門家であるという点でさらに間違いが入り込みやすいので、一次資料を見る方がよい。

    国際度量衡委員会 (CIPM) で11月に行われた度量衡総会 (CGPM 2022) の決議4がうるう秒に関するもの。(いちいちフランス語が正文になっているのがうざい)

    https://href.li/?https://www.bipm.org/documents/20126/64811223/Resolutions-2022.pdf/281f3160-fc56-3e63-dbf7-77b76500990f

    「撤回する (recalling)」、「歓迎する (welcoming)」、「注記する (noting)」、「認識する (recognizing)」、「決定する (decides)」、「要求する (requests)」、「奨励する (encourages)」、といろいろなレベルの表明がされているが、重要なのは撤回された事項と決定要求の部分。

    撤回されたのは、「歩度は TAI(国際原子時)と同じ。UT1-UTC が±0.9秒を超えると予測されたら UTC にうるう秒を±1秒入れる」という現在の UTC の仕様。

    決定されたのは、

    • 現在 ±0.9秒とされている UT1-UTC のしきい値を2035年までに増やす

    ということだけ。「うるう秒を廃止する」とは書いていない。UTC に不連続な時間挿入を行うためのしきい値を0.9秒より大きくします、と言っているだけ。

    要求されたのは、

    • UTC の連続性を少なくとも1世紀にわたって保証する、UT1-UTC の新たな最大値を提案すること
    • 提案された新たな最大値を実装する計画を2035年までに準備すること
    • 新しい最大値を CGPM がちゃんと運用できるように、CGPM がレビューするための期間を提案すること
    • 次の総会(2026年)で決議できるような、これらの提案を含む決議案を作ること

    の4点。現状のしきい値 0.9 秒というのは小さすぎて、数年ごとにうるう秒が挿入されることによる社会の対応コストが大きすぎて大変なので、最低でも100年くらいは挿入しなくて済むように、しきい値を大きくします、という話。

    今は「UT1 が UTC より0.9秒遅れたら UTC に1秒足す」というルールだが、仮にしきい値を100倍の90秒にして「90秒遅れたら91秒足す」ということにすれば、UTC は200〜300年に1回「うるう91秒」が入るという形に変わる。91秒は半端なので、まあ60秒、つまり「うるう分」の挿入という形に変えるのが無難かなと個人的には思うが、「●秒遅れたら○秒足す」の●と○をいくつにしましょうか、という議論をして2035年までに決めようという話。

    そもそもなぜ UTC を UT1(地球回転に同期する時刻。天体観測で決める)から大きくずれないようにしたいかというと、「0時とは何か」という定義に古来続く意味を持たせ続けたいからだろう。

    0時(正子)とは、12時(正午)の12時間後(前)のことである。で、正午とは、「太陽が南中する時刻である」というのが歴史的に最も素朴な定義だったはず。実際には太陽の南中時刻は「均時差」という要因で、季節によって数十分ほど変動するので、「平均太陽」という変動のない仮想的な太陽が南中する時刻を考え、それを正午とした。

    この素朴な定義から現代の UTC もあんまり離れないようにしたい、ということですね。太陽の南中時刻が18時とかになったらやっぱり気持ち悪いだろう、という。

    ただし現代の状況では、太陽が真南に来る時刻は地方標準時での12時から最大で±2時間くらいはずれうるはず。タイムゾーンはおよそ15度(=1時間)刻みの帯になっているので、実際の各経度での地方平時は標準時から1時間くらいはずれうるし、夏時間を導入している国ではさらに夏時間分のずれも1時間加わるので。それに違和感を覚えている人もほぼいない。気にするのは日時計の製造業者くらいか。ならば、0.9秒という誤差で UTC を地球自転に追従させるのはオーバースペックすぎてまあ意味がない。