• 『Flow』以来1年半ぶりのCDシングル。通勤がなくなり、近所にもPerfumeのCDを置く店がなくなったため、今回もタワレコの通販で購入。通販はどうしても到着が遅いので、「Moon」だけはiTunes Storeの先行配信でも買った。

    「Moon」も悪くないけど、自分はカップリングの「ラヴ・クラウド」の方が100倍くらい好き。ロンドン公演のライブビューイングで聴いて以来、これの音源化を待っていた。CDの歌詞カードのおかげで、聞き取れない歌詞が正確に分かった。「あどけないVoice アドリブライフ さりげない Hold on 浮かんじゃうわ 恋雲」らしい。「恋雲」って唐突すぎてどこから出てきたのか謎だったが、詞を読んで文脈を理解した。

    最近のPerfumeのシングルは、どうもA面よりカップリングの方が自分の好みに合う。「Time Warp」よりは「再生」、「Flow」よりは「マワルカガミ」、「Moon」よりは「ラヴ・クラウド」。「Time Warp」のときもタイアップの付いている「再生」をカップリングに回したわけだし、今回も「ラヴ・クラウド」をA面にするか、あるいは両A面でも良かったのではないか。歌番組でも「ラヴ・クラウド」聴きたいぞ。

    公式YouTubeチャンネルにロンドンでやった「ラヴ・クラウド」の映像が上がっている。CDと聴き比べるとCDの方が音が足されてますね。香水を手首に付けてこする仕草を振付にするというMIKIKO先生の発想に天才を感じる。2番で前に出てきた後のあ〜ちゃんのグルーヴ感がヤバい。そして、「「Moon」よりこっちがA面だろ」というコメントがここにもたくさん付いていて笑った。ですよねー。

    「Moon」のMVはシンプルだけど結構好き。実写とCGが組み合わさっているのだと思うが、合成を感じさせないのが凄い。

    カメラ・照明が固定でステージが回っている場合、静止系のカメラに対しては「影の出る方向は不変、人間だけが回転」となり、回転系のカメラに対しては「影の出る方向は回転、人間は静止」となるはず。MVでは、一見静止系の視点に見える映像で人間と影が一緒に回転していたりするので、実際の撮影ではステージは固定、照明も固定でカメラを逆向きに回転させているのだろうと思われる。ただし、違和感が出ないようにいろんな方向から明るい照明を当てて、影自体があまり出ない工夫をしているように見える。そういうことを考えながら何度も見るのも面白い。

    衣装の色が20年前の「スウィートドーナッツ」を思い出させる、という発見をtumblrにpostしたらnotesがわりと付いて嬉しい。

    tumblrも埋め込みできるWordPress、よい。

  • これまで何回接種したのかもう覚えていないが、スマホの接種証明書を見ると4回接種しているらしい。今月、5回目の接種予約が始まる。

    https://www.city.sayama.saitama.jp/kinkyu/coronavirus/vaccine_2023fall/index.html

    64歳以下の対象者で接種をご希望の方は接種券の発行申請をお願いします(準備中)

    上記対象者のうち、64歳以下の方で接種を希望する方は、接種券の発行申請が必要です。なお、65歳以上の対象者は申請不要です。
    申請は、2023年9月20日(水曜日)開始予定、申請を受けた方の接種券の発送は10月10日(火曜日)以降を予定しています。

    コロナワクチン追加接種(令和5年秋開始接種) 狭山市公式ウェブサイト

    今回は現役世代には自動で接種券が来ず、申請が必要。接種費用は今回まで無料。

    ワクチンはファイザーのXBB.1.5対応版が使われるとのこと。

    変異株の種類がどんどん増えているが、現在流行の主流になっているXBBやBQ,EGという系統はオミクロンという変異株からさらに変異したものである。現状ではそれほど有害ではないので新たなギリシャ文字は割り当てられていない。

    WHOのルールで、SARS-CoV-2 の変異株は重大性の高い順に、

    • 懸念される変異株 (Variant of Concern; VOC)
    • 注目すべき変異株 (Variant of Interest; VOI)
    • 監視中の変異株 (Variant Under Monitoring; VUM)

    の3段階に分けられる。以前はVOCとVOIにギリシャ文字が割り当てられてきたが、2023年3月15日にルールが変わり、ギリシャ文字はVOCだけに付けることになった。VOCの定義は、VOIにランクされた変異株のうち、

    • 臨床的重症度が有害な方向に変わった
    • 保健システムの能力に影響を与え、大規模な公衆衛生上の介入が必要になった
    • ワクチンの効果が著しく下がった

    のどれか1つ以上を満たすもの。BA, BQ, XBBなどは今のところVOI止まりなのでギリシャ文字は付かない。現時点でどんな変異株がどのランクに指定されているかは以下のページで見られる。現在はVOCは一つもない。VOIに3種(XBB.1.5, XBB.1.16, EG.5)が指定されている。EG.5はXBB.1からスパイクたんぱく質のアミノ酸が3個変わったもの。

    https://www.who.int/activities/tracking-SARS-CoV-2-variants

    SARS-CoV-2ウイルスの変異株について、2022年12月時点での系統樹は Wang et al. (2022) という論文の Figure 1B で見ることができる。厚労省の予防接種・ワクチン分科会の資料でもこの論文が引用されている。(今はさらにEG.5がXBB.1の先に派生している)

    この図は株同士の「遺伝的距離」というのを表した図で、ノード間の距離が遠いほどゲノムの塩基配列がたくさん変わっていることを示す。線の方向には意味はない、と思う。WA1が最初に武漢で見つかった株。オミクロンからBA.2、BA.2からBA.5とXBBが派生し、BA.5からBQが派生していることが分かる。今やXBBやBQは(武漢株を基準として)デルタ株よりも3倍くらい遠いゲノムへと変異している。ここまで変わってくると武漢株ベースのワクチンはまあ効きづらくなるだろうとは納得できる。

    実際、どのくらい効きづらくなっているかを調べましたというのが上記の論文の肝で、図のキャプションを日本語にしたものが厚労省の資料に載っている。

    令和5年度の接種について(第47回厚生科学審議会予防接種・ワクチン分科会資料1-1より抜粋)

    左の図は、過去に武漢株ベースのワクチンを3回、さらに「武漢株+BA.4/5」対応の2価ワクチンを1回打った人の血清を使い、さまざまな変異株と混ぜてみて、血清をどのくらいまで薄めて混ぜてもウイルスを無力化できるかという限界(中和抗体価)を調べたもの。武漢株に対しては血清を13000倍希釈しても無力化できるくらいワクチンの効果が血清に残っているが、XBB.1が相手だと160倍希釈までが限界ということで、効き目が85分の1に落ちている。縦軸の102(100倍希釈)に点線が引かれているのはここが測定の検出限界であることを示す。XBB.1株に対しては、従来型3回+2価ブースター1回接種しても、効き目が検出限界のちょい上くらいまでしか発揮されないことが分かる。

    右の図は「抗原地図」というもので、さまざまなウイルス株の抗原性がどのくらい違うかを、2つの性質に絞って2次元の散布図にしたもの。また、さまざまなタイプ・回数のワクチン接種をした人の血清の効果(抗体価)がその抗原性にどのくらいマッチしているかも重ねて描いている。これで見ても、XBBとかBQは武漢株やBAよりだいぶ遠い。

    個人的に興味深かったのは、この論文の Figure 3 に載っていたもう一つの抗原地図。

    上の抗原地図とほぼ同じだが、SARS-CoVというのが2002年にいわゆる「SARS」を引き起こしたコロナウイルス。WIV1はコウモリに感染するコロナウイルスの一種。GD/GX-Pangolinはセンザンコウに感染するコロナウイルス。つまり、XBB系統の抗原性は、もはや初代SARSや他の動物のコロナウイルスと同じかそれ以上に、武漢株からかけ離れたものに変異してる可能性がありますよという話。ただし、この抗原地図法というのはウイルスや血清を2つの性質のみに注目して2次元平面に投影してしまうので、他の性質も軸に使って多次元空間で見れば、もっと距離感の違う地図になる可能性はある。

    まあそんなわけで、武漢株やBAに対応したワクチンではもうあんまり意味がないので、2023年秋冬のワクチンはXBB.1のみに対応した1価ワクチンに切り替えましょうとなったらしい。武漢株なんかもう流行していないしね。

    2023年8月の各国の流行株 Top 5 は以下の表から分かる。EG.5 系が絶賛流行中。EG.5 は上で書いたように XBB.1.5 から変異した株なので、XBB.1系対応ワクチンならよく効くでしょう。

    東京都健康安全研究センター » 世界の新型コロナウイルス変異株流行状況(2023年9月13日) BA.2.86.1情報

    厚労省や東京都のwebサイトにはこういう有用で面白い情報がたくさん公開されていて、官僚や専門家の人たちは最新の情報を収集してきちんと仕事をしているなぁと思うのだが、テレビの報道や情報番組ではこういう話はほとんど紹介されず、「ワクチンを接種したいか、街の人に聞いてみました」とか、「「有料になったら接種しない」という人が○%でした」、とか、どこかのクリニックの先生のコメントとか、そんなのしか流さない。それはただの「お気持ちの集積」であって感染症対策の報道ではない。一方で、「ワクチン接種後に亡くなった○○さんの遺族はいま」みたいなセンセーショナルなエピソードには嬉々として時間を割く。下らないなーと心底思うわけです。

  • コロナ禍で在宅仕事者になる → 自宅机の使用時間が増える → 椅子のキャスターでフローリングが割れる → マットを敷く → マットに沈みながら転がるのでキャスターが割れるPタイルを敷く → フローリングの平面性が悪い箇所でPタイルが割れる の続き。

    Pタイルをすべて撤去し、新たに3mm厚のMDFを並べてみた。

    Pタイルのときは強粘着の両面テープでフローリングに貼りつけたが、剥がした後にテープの糊がフローリングにこびり付いてえらい苦労した。今回は接着せず、MDF同士を裏からテープで接合するだけにした。これでいってみる。人生は実験。

  • 広島大学助教の方が26歳の若さで「アジアの科学者100人」に選出されたとかで話題に。

    https://www.asahi.com/articles/ASR9C72L0R8TPITB00L.html

    この記事を載せた「Asian Scientist Magazine」というシンガポールの雑誌もよく知らないのだが、ふーむという感じ。

    この年齢で既に十数本の論文があるというのでまた話題になっている。

    https://togetter.com/li/2223282

    論文リストは広島大学の研究者一覧から見られる。11編が載っている。

    https://seeds.office.hiroshima-u.ac.jp/profile/en.4a29e15536ce6dff520e17560c007669.html

    ただ、個人的感想としては、投稿している雑誌が微妙なのが多い。Physical Review D に2本出しているのは立派だが、他は以下の通り(カッコ内はImpact Factorの値)。

    • Physical Review Research (2.286)
      • 米国物理学会の “Physical Review ほげほげ” シリーズの中で、オープンアクセス・総合ジャンル1のジャーナル。悪くはない。
    • Scientific Reports (4.6)
      • Nature がやっているオープンアクセス系ジャーナル。Nature のジャーナルでは一番格下とされている2。悪くはない。
    • Universe (2.813)
      • 「ほぼハゲタカジャーナル」の量産元として有名なMDPI社の雑誌!!!3
    • IEEE Transactions on Applied Superconductivity (1.949)
      • この雑誌の論文著者には自己引用が非常に多くみられるため、2020年にJCRがIFの一時公開停止措置を取ったといういわく付きの雑誌4
    • Electronic Proceedings in Theoretical Computer Science (N/A)
      • 会議・ワークショップの集録集的な雑誌5。情報がほぼない。JCRのIF公表対象外。Webサイトの作りが1990年代のようで凄い。
    • International Journal of Engineering & Technology (0.205)
      • 出版元はヨルダンの企業。工学の全ジャンルをカバーするオープンアクセス雑誌、らしいが…6
    • Journal of Applied Physics (3.2)
      • これは米国物理学協会 (AIP) が出している、応用物理ではよく知られたまともな雑誌7

    論文リストを見て「なんか巻号が若い雑誌が多くない?」というところで気づく人は気づくと思うが、最近創刊されたばかりの、オープンアクセスで査読が速い(=内容の吟味よりは速報性重視、悪く言えば何でも載せてくれる)という雑誌が多い。対象分野が広い雑誌というのも、よく分かってる専門家がレフェリーに付かないので何でも通る確率が高いということになる。

    というわけで、PRDに2本、Phys. Rev. Research, Scientific Reports, JAPに各1本の計5本というのを見ればまあ優秀かなという気もするが、かなりろくでもないジャーナルにも投稿しているので、なんでそんなことするの? という印象。26歳で海外誌5本なら十分立派なのに。

    なので、「異次元の経歴」とか言ってもてはやすよりは、ちょっと距離を置いて眉毛に唾液を塗りながら眺めた方がいいのでは、という気がしている。電気回路でブラックホールのホーキング輻射を模擬するというのもなんか面白いけど、決して量子重力あたりの「本流」のテーマ・手法ではない。

    何度も書いていることだけど、天才やスーパースターを安易に待望する空気というのは本当に危険なので、冷静になった方がいい。包装紙が立派な人物にみんなで飛び付いてひどいことになった事例、何度もありましたよね。

    1. Physical Review Journals ↩︎
    2. 論文を投稿するジャーナルの選び方 – 日本の科学と技術 ↩︎
    3. MDPIはハゲタカジャーナルなのか?その評判 – 日本の科学と技術 ↩︎
    4. IEEE Transactions on Applied Superconductivity – Wikipedia ↩︎
    5. Electronic Proceedings in Theoretical Computer Science ↩︎
    6. About the Journal | International Journal of Engineering & Technology ↩︎
    7. Journal of Applied Physics | AIP Publishing ↩︎
  • iPhoneのカメラは空の青さを演出しすぎだが、それにしても、自分が子供の頃は、空が青いと感じるのは真冬の乾燥した晴天くらいで、夏の空はいつも白っぽく、こんなに青くなかった気がしている。

    空の色に関する長期の調査データというのは見つけられなかったが、大気汚染のデータは環境省にあった。

    https://www.env.go.jp/air/osen/index.html

    俺の子供の頃(昭和の終わり)に比べて大気汚染は劇的に改善している。

    窒素酸化物 (NOx)。「一般局」というのは一般環境大気測定局、「自排局」というのは自動車排出ガス測定局(主に道路近くに設置)のデータ。

    浮遊粒子状物質 (SPM)。10μm以下のダストのことで、2.5μm以下のものは例のPM2.5というやつ。

    二酸化硫黄 (SO2)。これは火山ガスの成分でもあり、桜島近くの測定局では噴火があると高く出たりするらしい。

    一酸化炭素 (CO)。

    昭和の終わりと比べると、どの指標も1/5くらい、一番減っていないNO2でも半分にはなっている。工場や自動車の排ガス規制が厳しくなったのと、HV, EVの普及が大きいのだろう。

    子供の頃は車道の横を歩いて登校していたので、登校風景というと車の排ガスの白い色と臭いを思い出す。いすゞエルフやトヨタダイナなどのトラックの排気は特に臭かった。たまに見かけたスバル360も、2ストエンジン特有の強烈な臭いがあった。今の車は排ガスの色なんてほぼ見えないしな。時代とともにいろんなものが悪化していると思いがちだが、環境はすごく良くなっている。