なぜ “Archer” ではなく “The Archer” なのか不思議だったが、彼女はいて座生まれなのでそれに掛けているようだ。公私ともに打ちのめされ、いろんな人が離れていったり敵になったりした、という絶望の曲だが、曲の終わりに “Who could stay?”(誰がそばにいてくれるの?)のリフレインから “You could stay”(あなたはそばにいてくれるよね)に変わるところが、暗闇の中に救いの光が見えるかのような展開で素晴らしい。観客もここで大歓声。私たちはテイラーの味方だ、というSwiftieたちの意思を感じる。
飲んだ帰りにたぶんタクシーに男と二人で乗って、「私、コーネリア・ストリートに部屋を借りたの」と話すところから始まる曲。物語の時制が分かりづらいが、おそらく男との恋愛は始まったばかりで、なのに破局してしまうところまで想像して恐れている、みたいな曲らしい。”I’d never walk Cornelia Street again”((もしこの恋が終わってしまったら)コーネリア・ストリートを歩くことは二度とできないだろう) “I get mystified by how this city screams your name”(この街があなたの名を叫ぶことに戸惑ってる)という詞を絶叫するように歌うのがいい。テイラーがコーネリア・ストリートに住んでいたのは事実で、ファンが聖地巡礼しているらしい。
「あああ ああっあー」で有名なやつ。クソみたいな世間に泣かされる女性たちを励まし、奮い立たせる曲。あいつらがあたしに投げつけた煉瓦で城を建ててやるわ、という。”The Man” もそうだが、男女格差を描いた曲をテイラーは昔からいくつも作っていて、どんだけ不当な叩かれ方をしてきたんだよと思う。このへんも Person of the Year に選ばれた理由の一つであるのだろう。
The 1975 のライブにサプライズ出演して弾き語りしたときの映像。この背の高さ! ヒールを履くとたぶん190cmを超えている。彼女は自分は背が高すぎて可愛くないと思っているようで、ここで披露した “Anti-Hero” でもまさにそんなことを歌っている。MVでも自分を巨人として描いている。テイラーは歌の切れ目でわざとマイクから顔を外してキメ顔を作る癖があって、この映像でもそれが見られる。
「男をとっかえひっかえしている」などと、実際の自分と全く違うことをゴシップ記事に書かれて傷付いたときに、「でもこういう記事に書かれてるキャラ(恋多き女)を曲にしたら面白くない?」と思い直して書いたのが “Blank Space” だ、という話を冒頭でしている。サビの部分にある “Got a long list of ex-lovers” の後半がなぜか “Starbucks lovers” に聞こえるのだが、”Blank Space Starbucks lovers” で検索するとたくさんヒットするので、向こうの人にもそう聞こえるらしい。
2019年にビルボードの Woman of the Decade を受賞したときのスピーチ。彼女が受けてきた不当な扱いがどういうものだったか、それらとどう闘ってきたかが分かる。15分以上あるスピーチだけど構成が完璧で、彼女の聡明さも伝わってくる。