• 長くかかった仕事が一段落したので、午前は歯科へ。先日詰めてもらった箇所が噛みしめると微妙に痛いので調整してもらう。

    午後は眼科。飛蚊症と1年前の黄色いしみ(今は見えなくなった)について相談。眼底検査と網膜の断層撮影をしてもらったが特に異常はないとのこと。飛蚊症は加齢で硝子体にすき間が生じたものでしょうという感じ。数が増えてくるようならまた来てください、と。わりとずっと見えているので気になるのだが、まあ網膜剥離とかではなくて良かった。硝子体は血管がない組織なので、薬で治すということはできないらしい。

    視野の黄色いしみの方は、ネットで検索して出てくる通りで、網膜がむくんで一時的に膨らんだものだろうとの診断。自然治癒したようなのでまあいいかという感じ。あと、右の水晶体が少し濁っている、つまり白内障が出ていると言われた。これは以前にも言われた。この年齢だと多くの人に見られる程度のものなので気にしなくていいとのこと。

    X線も使わずにどうやって網膜を断層撮影するんだろう、超音波か?と思ったら、近赤外線を打って入射光と反射光を干渉させることで、深さ何μmのところにどれだけ反射するものがあるという深さ方向の像が得られるらしい。OCTというらしい。

    https://www.hamamatsu.com/jp/ja/applications/medical/oct.html

    検査をするために瞳孔を開きっぱなしにする目薬(硫酸アトロピン)を使うので、帰り道は車のライトなどの光芒がえらく眩しく見えた。あと、視野全体が白っぽくなってピントも甘くなる。まあ絞り開放で撮っているようなものだからな。面白いのは、眩しく感じるのはライトや信号機のような発光している光源だけで、景色全体はそこまで明るくならないこと。不思議。瞳孔の直径が2倍に広がれば光量は4倍、3倍に広がれば9倍にもなるはずだが、そうは見えない。脳がゲインの調整をしているんだろうか。

    地下鉄サリン事件のときには、サリンで縮瞳が起きて視野が暗いと感じたという多くの証言がある。脳のゲイン調整にも限度があるのかもしれない。

    ピントが合いづらいので妙に疲れて、晩飯を食べずに寝てしまった。

  • 来た。早速予約。10月中はすでにほぼ枠が埋まっていて、10月末になった。これまでと違い、大病院にあまり枠がない感じ。今回、現役世代は券を申請した人だけ接種する形なので、ワクチンの準備数を「細く長く」にしているのかも。個人的には、もう打たなくていいやと思う理由がよく分からないが。

    高齢者の母には先に接種券が来たので既に接種済み。

  • もう20〜30年前か、日光へ家族旅行に行ったときに父が土産で買った表札をまだ使っているが、雨ざらしで真っ黒になっていたので手入れをした。

    まず鉋がけ。サンドペーパーとどっちがいいかという話だが、鉋の方が刃で木の組織を切断していくので、粒子でこそぎ取っていくサンドペーパーよりもミクロなスケールで表面が平滑になり、後から撥水性も出るという話がある(参考:大工の正やん)。ならば、外に置く表札なら鉋だろうと判断。

    しかしこれは難しかった。中学のときに買った鉋があるが、刃が錆びていたのでまず刃研ぎ。研いだ刃を装着して表札を削ったが、最初は刃の出し過ぎで引っかかって表面がガタガタになってしまった。刃を出す量は髪の毛の太さの半分とか言うが、自分の感覚だともっとずっとわずか。出ているかいないか分からんくらいでちょうどいい。調整が非常にピーキー。苦労して削って真新しい白木を出せたが、わずかな凹凸がどうしても残ってしまった。

    鉋をかけたらニス塗り。油性のクリアラッカーにしたら家中がシンナー臭くなって閉口。水性にすべきだった。何度か重ね塗り。

    重ね塗りの乾燥を待つ間に刷毛が固まってしまうという問題があるが、刷毛から塗料の溶剤が揮発するのが固まる原因なので、刷毛をビニール袋に入れてマスキングテープなどで口を密封しておくと固まらない、というのを知った。

    そんな感じでだいぶ綺麗にはなったが、元々の表札があんまり良くないことにも改めて気づいた。

    これは綺麗にした後の画像だが、墨が滲んでいる。今回墨入れはやっていない。ニスで滲んだのでもなく、元からこうだった。木を彫って色を入れる場合、砥の粉を塗って目止めをする必要がある。木の組織には道管がたくさんあるので、彫ったまま色を入れると道管が塗料を吸ってしまい、このように組織の深いところまで滲みが生じてしまう。砥の粉を道管に入れて埋めておく必要がある。

    この表札は墨の滲みが深い所まで起こっているので、表面を鉋がけしただけではどうにもならなかった。文字を全部削ってやり直すしかないが、面倒なのでそこまではしない。

    確か、華厳の滝の近くにたくさんある土産物屋で父が彫ってもらったものだと思うが、まあ観光地の土産物屋なんていうのは、こういう砥の粉も使わないような、粗雑な仕事で商売しているわけですよ。やっぱり観光地だとか行商だとか訪問販売だとか、行きずりの商人から買い物なんかするものじゃないな、と改めて実感。今見ると字も下手くそだしな。まあこれも家族の思い出なのでそのまま使う。

    「野」の最後の縦棒も、筆ではこうはならないよね。筆の入りが横棒とは分離するはず。明朝体の字形を真似して彫ったのだろうか。

  • 元Newton編集部の三ツ村さんの記事。

    https://www.businessinsider.jp/post-276426

    2017年の事件や民事再生の話については過去に報道されていてほぼ既知だが、社員の給与の遅配が発生していたというところは自分にとっては新情報。遅配が出たらだいたい会社は終わりですね。終わらなくても逃げた方が良い。自分も以前の職場で、業績不振のため全員給与10%カットというのは2回経験したが、遅配は幸いなかった。

    前社長の出資法違反事件の発端は、タブレットで学べるTOEICとかのデジタル教材を売る事業(Newton e-Learning)をニュートンプレスとは別の会社でやっていて、そちらが全然儲からなかったということですね。

    https://www.itmedia.co.jp/business/articles/1702/20/news136.html

    Newton e-Learning は2006年からとのことだが、初代 iPhone, iPod touch が2007年発売、App Store 開始が2008年、初代 iPad が2010年発売なので、元々の e-Learning はPCプラットフォームだったと思われる。2008年から業績が悪化とのことなので、ちょうど e-Learning 事業を始めたところにPCからスマホ・タブレット時代への移行が始まってしまい、あわててスマホ・タブレットにもプラットフォームを広げたが、うまくいかなかった、という感じだろうか。モバイルアプリの時代になって教材関係は競合相手も山ほど出ただろうし。

    前社長たちは e-Learning のマイナスをニュートンプレスからの資金で補塡し、それでニュートンプレスの財務状況も厳しくなった。さらに、「Newton」の定期購読者からも e-Learning に出資を募り、ここで元本保証を謳ってしまって出資法違反に問われたということらしい。

    表に出てきた情報を見る限り、私腹を肥やすためではなく、斜陽産業である出版事業をカバーしようとして始めた e-Learning がうまくいかなくて、資金集めのセールストークで一線を越えてしまった——ということなので、ちょっと(かなり)同情したくなる事件ではある。

    デジタルコンテンツの事業化は本当に難しい。前の職場でも、1990年代にCD-ROMで出していた動植物の図鑑とかをアプリ化して一時期たくさん出していたが、結局続かなかった。アプリ自体の価格が、無料とかせいぜいアプリ内課金で数百円〜1,000円くらいの水準で定着してしまったのがきつい。1,000円のアプリが1,000本売れても100万円にしかならない。ここからApple税が引かれて残るのは70万とか。それに対して、ソフトウェア開発のコストの相場は自分がいた当時で1人月当たり100万〜150万と言われていた。これだと、初回の開発はできても、その後の継続的な不具合修正や機能追加は無理。今はアプリに広告を組み込むとか、アプリ内課金をすると広告オフ・追加機能開放みたいな形が多いが、本数が出ない自然科学や教育分野ではそれでも、ビジネスとして成立させるのは相当難しいだろう。

    出版の未来もなかなか明るくない。出版や印刷の老舗は歴史的事情で都心のいい場所に不動産を持っているので、そこにビルを建てて貸すという不動産賃貸事業で本業の赤字を埋めて延命しているという例をよく見聞する。朝日新聞だっていつまで存在するか分からんからね。

  • へぇという感じで寝耳に水だった。へぇ。

    https://www.asahi.com/corporate/info/15021699

    朝日新聞出版の子会社になるようである。所在地も築地に移ったりするのかしら。

    大きいところに買ってもらって経営基盤が強化されるのはまあ悪くない。民事再生計画も来年には負債を完済するということで、喜ばしい。

    思うところはいろいろある。「SCIaS(科学朝日)」を潰したくせに、またよそから科学雑誌を買って何がしたいの?(意訳)といったツイートも見かけた。朝日の科学報道に疑問を感じたことも多々ある。3.11後の連載「プロメテウスの罠」、「AERA」の「放射能がくる」、IUTの件、HPVワクチンを巡る報道 etc.。会社として、これらを後に総括したことってあったっけか。寡聞にして存じない。こういう会社に買われたということを聞きますとね。うーむ、とね。なりますよね。

    https://togetter.com/li/284257

    https://news.yahoo.co.jp/expert/articles/b232a5d8d37a2e1ebe6897564b7f2db6b50f927d

    https://note.com/rikomuranaka/n/n001f291ae02e

    菊池さんも村中さんも科学者だからね。科学者の眼に朝日新聞グループは今でもこう映っているという事実は重いですよ。(2023/10/07: 村中さんは科学者と言うよりは医師でした。)

    今後もNewtonの編集方針は変わらないとのことだが、買収後にブランドと企業文化と製品をめちゃくちゃに破壊され続けているTwitterのことをみんなリアルタイムで見ているわけで、企業のM&Aに際して出るこうした口約束に何か効力があるわけでもなかろう、と自分はドライに受け止めている。

    読者にとって良い雑誌であるようにと願っている。そうなるために、自分は微力ながらできる範囲でお手伝いをするのみ。