5/22(木)
木漏れ日はピンホールカメラになっている。重なり合う葉が作り出す小さな隙間がピンホールとなって、地面に太陽の像を投影する。だから、隙間が十分に小さければ、木漏れ日は必ず円形になる。
まぎれもないピンホールカメラであるから、外形だけでなく、太陽面に大きな黒点が出ていれば木漏れ日の中にも黒点が見えるはず。ただし実際には、黒点が見えるほどシャープに映るためにはピンホールが小さくないといけなくて、そうすると光量が落ちてしまうのでなかなか難しい。

日食のときには木漏れ日も欠けた太陽の形になる。

ピンホールカメラの図を描くと分かる通り、「像のサイズ」と「スクリーンまでの距離」の比は、「被写体のサイズ」と「被写体までの距離」の比に常に等しい。100m先にある1mのものは、奥行100cmのピンホールカメラでは1cmに映る。
ということは、木漏れ日の「太陽像」と「葉っぱまでの高さ」の比は、いつでも「太陽の直径」:「太陽までの距離」の比に等しい。
太陽の直径は約139万kmで、地球から太陽までの距離は1天文単位=約1.5億kmだから、この比率はざっくり 1:100 である。なので、木漏れ日の直径と葉っぱまでの高さもつねに 1:100 になる。もし木漏れ日の太陽像が直径 3cm だったら、その木漏れ日を作り出した葉っぱの隙間までの高さは 3m だと即座に計算できる。
宇宙は日常と無縁の世界だと思いがちだが、私たちが地面に落ちた木漏れ日を見るとき、その直径は太陽系の都合で決まっており、そこにはつねに太陽系のミニチュアが存在しているのだと思うと、ちょっと新鮮な感覚になりませんか、ならないですか、そうですか。
そんなことを考えながら昼飯を食っていた。ここで食べるのも最後。