なんか出ている。
ノーベル賞学者の「KAGRA計画」 重力波の検出は事実上、不可能に | 文春オンライン
一夜明けて、「始まったばかりの基礎科学のプロジェクトをまたマスコミが叩いてる」という論調も見られるのだが、いくつか気にしなければならない点はある。
- 文春がもともとKAGRAなんかに関心があるはずもなく、これは内部の研究者のリークから始まっている話である(Zoom会議?の音声がわざわざ録音され、これもリークされている)。つまり、外野の素人目ではなくて、中の研究者の視点から見て「まずいことが起きていて自浄作用だけではどうにもならない」からリークされた、ということを示唆している。
- まだ取り付けられていない装置があって運転できる状態ではないのに運転開始式典で「ぽちっとな」とやってさも完成したかのように見せたのは不誠実である、というのは俺もそう思う。
- LIGOでノイズハンターとして多大なる貢献をした川村静児さんとその教え子の研究者など、このプロジェクトに当然いるべき優秀な人が途中から抜けてしまっているという事実がある。抜けたくなるような何かが起きていることを示唆している。
LIGOですら運転開始から検出まで(Advanced 化を行って)13年かかったんだからもっと長い目で見なきゃダメだろ、というのはまあそうなのだが、それなら最初から国民にそう説明しないとダメですよね。
俺は、LIGO/Virgo でノイズを減らしたノウハウをかなりごっそりと KAGRA に技術移転することで短期間で追いつく、みたいな合意が LIGO/Virgo との間でできているんだと思っていた。そういうフリーライドを許してもらう合意が特になく、自力で頑張れという話なのなら、そりゃあ10年かかるよね、と思う。
そういう所を含めて、これまでよりもっとちゃんとした説明を聴けるきっかけになるのなら、文春砲もまあいいのでは、という感じ。
あと、パーセクは Pc ではなく pc と書いて欲しい。