コロンビア大の Peter Woit さんによる3月4日付の blog。これも海外のムードをよく表している。訳そう。
ABC is Still a Conjecture | Not Even Wrong
ABC はまだ予想
念を押すけど、abc 予想はまだ予想だ。正当な証明は知られていない(欧州数学会のとある雑誌で目にするかもしれない話(訳注:望月論文のこと)は信じてはいけない)。とある証明の試み(訳注:望月氏の証明のこと)がなぜうまくいかないかについて、より詳しくはこことここを参照のこと。この話題についてもっと広い背景を知りたければ、この blog の投稿から2012年のこの証明についての最初のアナウンスまで、さかのぼるといい。2018年の段階で、Scholze と Stix は望月氏が述べている議論に欠陥があることを示した。これ以来、数学コミュニティは興味を失い、他へと移っていった。望月氏の証明を正しいとする信仰は、今や京都大学とノッティンガム大学にいる熱狂的支持者の小グループに限られているようにみえる。彼らは、指摘された証明の穴など存在しないかのように見せかけようとする試みを続けている。9月には京都でIUTサミットが開かれるが、主催者は京大・ノッティンガム大以外からの参加者をまだ見つけることができていないようだ。
こういう海外の極寒ムードを目にした後で、「論文がついに出版されました」という国内の報道を見ると、違和感しかない。海外では否定というより、もはや興味が失われている。「え、まだそんな話やってるの」という感じ。この温度差を自覚せずに、「よく分からんけど日本スゴイ」的な盛り上がりを内向きに続けている有様はほんと、ヤバいと思います。日本は後進国に転落しつつあるのかなぁ、とは思いたくないが。京大以外の日本の数学者に、この状況が外からどう見られているのかをもう少しちゃんと説明して欲しいところ。
google のニュース検索を見る限り、NHK はこの話題を報じていないようだ。マスメディアの中ではわりとまともなのか、単に間に合っていないだけか。