付き添いで病院へ。いろいろ待たされて一日仕事になってしまった。
病院内も今は節電モードのようで、ロビーは弱冷房ぎみ。暑い。
『PLASMA』を rip しようとしたが、外付けドライブが使えなくなっていた。USB 端子に挿すとカシャッという音がして、「この Mac について」にも列挙されるので認識はしているようだが、CD を入れても最後の2cmくらいが入らず、ディスクを飲み込んでくれない。Windows 機の USB ポートに挿しても同じ症状なので、ドライブの問題のようだ。
仕方がないので Windows PC の内蔵ドライブでリッピングして Mac にファイルをコピーした。いい加減、音楽はサブスクで聴けという神のお告げか。
これはいいアルバム。名盤かもしれない。前作『Future Pop』は、今思えば収録曲にあまり統一感がなくて、海外で流行っているからという理由でフューチャーベースを取り入れたりして地に足がついていない感じがあったが、このアルバムはやりたいことの方向性が分かりやすい。
以前 WOWOW の番組で、中田ヤスタカは自分が海外進出する可能性は全くないと言っていた。ジャーマン・テクノやフレンチ・エレクトロみたいに、土地の名前が付いたジャンルとして世界から認知されるような日本発・東京発の音楽を作りたいから、海外に拠点を移すことには興味がないという話だった。
Perfume の場合、CAPSULE などの自身の活動とは違い、「やるからには売れないと」というプロデューサーとしての意識があるせいか、やや不自然な海外志向へとここ数年迷走していた気がするが、今回の『PLASMA』で、海外の真似ではない日本発のいい音楽をもう一度やろうという場所に戻ってきたように見える。MIKIKO先生は「チョコレイト・ディスコ」の頃、NY留学をしていて「外国人と日本人では身体の特性が違うのに、自分が外国人のダンスを真似しても意味がない」という境地にたどり着いたそうだが、中田先生もようやくそこに到達したのかな、と思った。
中田先生はシティポップや Vaporwave、Future Funk の流行を見て、海外のトレンドを無理して追わなくても、自分がいいと思うものを作り続けていれば勝手に世界が自分を見つけてくれる時代になった、と改めて気づいたのかもしれない(知らんけど)。『PLASMA』を聴いていると、自信を持って自分の好きなものに原点回帰した中田ヤスタカを感じる。詞の端々にもそれが表れているし、昔はほぼ全て英語だった Perfume の曲のタイトルに日本語(カタカナ表記)が増えているのも、日本発の良いものを作っているという自負が反映された結果のように思える。
フュージョン風味でおっさんホイホイな「Spinning World」のかっこよさは言うまでもないが、後半の柱になっている「Drive’n The Rain」が素晴らしい。6分超えでアルバム最長の収録曲。中田先生が本気で作ったシティポップという感じ。三人の高くて細くて平板なヴォーカルをこの懐かしい音に合わせるというのが非常に新しい。おそらくのっちかなと思うが、オクターブ下の低音で歌うコーラスも混ざっていてどきどきする。
「ハテナビト」も「575」を思い出させる希有な曲。韻を踏んだ五音の言葉を八分音符で刻んで4拍4小節に5個入れている。気持ちいい。
「アンドロイド&」は四つ打ちダンスチューン。「Party Maker」「FAKE IT」と並んでライブで爆上がりする曲になりそう。
ラストが「さよならプラスティックワールド」で終わるというのもいい。「みんなのうた」のバージョンが extend されて2番の歌詞が足されている。ネットに溺れるな、自分の感覚を信じてリアルを生きようというメッセージを残して、ほとんどアウトロもなしに音が消えてなくなる。儚い。
2021年5月の打ち上げ時と同じ話で、何が問題視されているのかはそのときにも書いた。
要は、1段式+ブースターという構成なので、ペイロードとともに巨大な第1段がそのまま地球周回軌道に乗ってしまうのが問題。普通の多段式ロケットの第1段は数分間の燃焼を終えるとさっさと落ちてしまうので、落下範囲の予測が簡単で対策が容易だが、いったん周回軌道に乗って人工衛星になってしまった物体がいつ落ちてくるのかは正確には分からない(大気抵抗の大きさ次第)。
仮に衛星軌道から落ちてくるにしても、数t であれば大気圏再突入で燃え尽きるので問題はない。しかし長征5号Bの第1段は 20t 以上ある。実際、2020年5月に初めて長征5号Bが打ち上げられた際には、燃え尽きずにコートジボアールに残骸が落下した。
Chinese Rocket Debris May Have Fallen On Villages In The Ivory Coast After An Uncontrolled Re-Entry
長征5号Bがこんな迷惑な構成になっている理由は、「宇宙ステーションのモジュールという大きな物体を上げるため」ということになっているが、20t 級のペイロードを LEO に上げるのにどうしても1段構成でなければダメという理由はない。
例えば、過去の宇宙ステーション建設では、ロシアの「ミール」の構成モジュールやISSの最初のモジュール(ザーリャとズベズダ)は10-20t の大きなペイロードだったが、3段式のロシアのプロトン-Kロケットで打ち上げられた。この場合、周回軌道に残るのは第3段(約4t)のみなので問題にはならない。
この長征5号Bについて、長征5号から何が改良されたかを中国運載火箭技術研究院の李東氏(長征5号シリーズの主任設計者)が語っている動画があった。
長征5号はペイロードを月や深宇宙まで運ぶので2段式(彼はブースターを0.5段と表現して2.5段式と呼んでいる)だったが、宇宙ステーション建設では LEO にさえ運べればいいので、1段+ブースターにして全長を短縮し、その分ペイロードのフェアリング容積を稼いだ方がお得だし、構造が単純になってよい、という考え方のようだ。「多段式は仕方なくそうしているだけであって、すべてのロケット技術者にとって究極のゴールは1段式で軌道に投入できるロケットだ」と述べている。
ただし彼は、これだと巨大な第1段が衛星軌道に乗ってしまい、無制御落下になってしまうという点には触れていない。このレベルのロケット技術者がその危険性に気づいていないわけはないと思うが。長征5号をベースにして楽に改良できるからそうしただけというのが本音ではないかという気もする。
この構成で上げたいのなら、軌道上で第1段を減速・制御落下させる機構を付けなければ、中国はいつまで経っても宇宙開発の世界で他国から信頼される地位には就けないだろう。さほど難しい技術でもないと思うのだが。