SIMBAD

天文学で広く使われている「SIMBAD」という天体データベースがあるが、google画像検索で “simbad” という単語を調べると中東のお兄さん風のキャラクター画像がよく出てくる。そうか、SIMBADって『アラビアンナイト(千夜一夜物語)』のシンドバッドにちなんだ名前か、と今さら気づいた。

英・仏語ではシンドバッドは “Sinbad” だが、スペイン語・ポルトガル語あたりで “Simbad” という綴りになるらしい。独・伊では日本語に近い “Sindbad“。

天体データベースのSIMBADは、”Set of Identifications, Measurement, and Bibliography of Astronomical Data” の頭字語であるとのこと。

SIMBADを運営しているストラスブール天文台には「VizieR」という天体データベースもあって、自分はどちらかというとVizieRの方をよく使っているかも。SIMBADとVizieRの違いがよく分からなかったが、VizieRは元々ESA(欧州宇宙機関)の宇宙ミッションで使うために作られたデータベースで、出自がSIMBADと違うというのと、観測の論文にだけ載っていてまだ番号が付いていない天体も収録されているとか、大規模サーベイの天体もフルに収録しているとか、書式がばらばらな各カタログに統一的なメタデータを付加して検索しやすくしているとか、いろいろSIMBADとは違うらしい1

VizieRは何と読むか分からなくて、ずっと「ヴィズィーアール」とか適当に言っていたのだが、google翻訳に発音させてみると「ヴィズィール」「ヴィズィーア」という感じらしい。vizierはアラビア語やペルシャ語の「宰相」を表す言葉で、wazirとも書く。カタカナで「ワジール」と書くと、中東の人名で何となく見覚えがある。結局こちらもアラビアンナイトにちなんだ命名ということか。何かの頭字語なのかは調べても分からなかった。

さらに、ストラスブール天文台には天体画像のデータベースとして「Aladin」というのもある。これもアラビアンナイト由来。

  1. What Is SIMBAD, and What Is It Not?, C. Loup et al. (2019) ↩︎