Psyche

NASAの小惑星探査機がソフトウェアの検証に遅れを生じ、今年の打ち上げウィンドウを逃すことになり、天体到着が遅れるという記事。

NASAの探査機「サイキ」の打ち上げ延期は、さまざまなミッションの遂行に多大な影響を及ぼすことになる

内容はいいのだが、

小惑星プシケの謎を解き明かすべく、NASAが送り込む探査機「サイキ」

という訳文はどうしたものか。プシケもサイキも英語では Psyche なので、日本語のときだけ書き分けるのもなんかおかしいが、自分ならどうするか、かなり迷う。

日本で定着している外来語(特に非英語)のカタカナ表記が英語読みと違っている場合にどう書くかというのは悩むところ。SLS でもうすぐ打ち上げられる Orion 宇宙船も、今はだいたい「オリオン」と書かれるが、開発初期には「オライオン」と書くメディアも多かった。

P-3 哨戒機 (Orion) は「オライオン」と呼ばれることがほとんどで、「オリオン」とはまず呼ばれない。C-130 輸送機 (Hercules) も日本では「ハーキュリーズ」と呼ばれることが多く、「ヘラクレス」と呼ばれることはほぼない。

古代ギリシャの哲学者プラトンは英語では Plato なので、彼の名前が付いた月のクレーターも Plato である。これについては、日本の天文書籍の多くは「プラトン」ではなく「プラトー」と英語読みに寄せた表記をしていて、結果的にプラトンの名が付いたクレーターであることが分かりづらくなってしまっている。(自分は子供の頃、plateau(高地)から来た名前だと思っていた)

OSIRIS-REx は「オシリス・レックス」と書くメディアが多いが、日本の研究者の方々はもっぱら「オサイリス・レックス」と発音している。

“Florence, Italy” も罠で、フィレンツェのことだと気づかずに「フローレンス」と訳す人がたまにいる。

Psyche は久々に登場した、めんどくさい名前だな…。打ち上げが延びたのでしばらく考える時間はできたが。