もう一つ

非専門家の俺でも気づく OSINT 的な話としては、(こういう話は品の良いものではないかもしれないが、)三好さんの職階の件がある。

三好真さんと言えば、中井直正さん・井上允さんたちとともに、NGC 4258 の超大質量ブラックホールを水メーザー源のケプラー運動から検出したという超一流の業績の持ち主だ。2020年にノーベル物理学賞をもらった Genzel, Ghez の Sgr A* の観測と並んで、現在でも SMBH の存在をもっとも確実に示す観測的証拠の一つとされている。もし SMBH 関連がノーベル賞をとるなら、三好・中井・井上からも受賞者が出るのではと考えていた人は少なくないはずだ。実際、2020年ノーベル物理学賞の Scientific Background にも三好さんの Nature の論文は引用されている。

にもかかわらず、3人のうち三好さんだけが現在も国立天文台助教のままである。俺より10歳上で、あと5年ほどで定年退官のはず。これほどの業績を挙げた人が准教授にすらなっていない。オファーされないのか、自らの職階を上げることに興味がなかったのかは分からない。

ともあれ、こういうだいぶ自然ではない状況にある人が、電波天文学が専門ではないお二人を共著者にして電波天文学分野の大きな問題提起をしたという不思議な論文が今回の一篇である、という点は、天文学コミュニティの外にいる人にはおそらく気づきにくいことで、知っておいて損はない情報だろうと思われる。

(なお、中傷や侮蔑の意図は全くありません。不自然に見える状況や奇妙な事実が今回の論文の周囲にはいくつか存在する、という私なりの観察結果を虚心に提供するものです。)