7月7日に出るらしい。
彼女の曲名やアルバム名で見かける (Taylor’s Version) とは、過去作の再録音版である。テイラーはこれまでにアルバムを10枚出しているが、6枚目をリリースした2018年の末に、それまでのレコード会社Big Machine Recordsからユニバーサル系列のRepublic Recordsに移籍した。6枚の原盤権はBig Machineが持っていた。その直後にBig MachineはScooter Braunという人物に買収され、6枚の原盤権もBraunの手に渡ってしまった。テイラーは原盤権を買い戻そうとしたが、法外な金額を吹っかけられた。要するにBraunは音楽には興味がなく、Big Machine Recordsとそれに付随する知財を転売して儲けるのが目的だった。それでブチ切れたテイラーが、「じゃあいいわ、自分で6枚再録音して売るわよ」と言って自分が原盤権を持つ形で再録音・リリースしたのがTaylor’s Version。略してTVとも呼ばれる。対するオリジナル版はStolen Versionと呼ばれたりする。
https://en.wikipedia.org/wiki/Taylor_Swift_masters_controversy
現在までに、2nd「Fearless (Taylor’s Version)」と4th「Red (Taylor’s Version)」の2作が発売され、このたび再録3作目の3rd「Speak Now (Taylor’s Version)」の発売がアナウンスされた。収録曲の曲名にも全部 (Taylor’s Version) が付いている。基本的にオケも含めて完コピで再現しているが、一部歌詞が変わっていたりもする。TV版には新曲や別バージョンも収録され、オリジナル版よりお得なのが通例。
残る3作のアルバムも再録音される予定だが、年齢とともに声も変わっていくので、計画を完遂するのはなかなか大変だろう。それでも泣き寝入りせず、全部再録して自分のものにするという発想が凄い。テイラーは嫌なところが全くない人だと思うが、なぜか一部の人から蛇蝎の如く嫌われ、文字通り “snake” と呼ばれたり、いろんな喧嘩を売られたりいじめられたりしてきた。だが、売られた喧嘩は全て買い、その全部に勝っている。そして経験したことを曲に書いてヒットさせる。凄い人です。
「Speak Now (Taylor’s Version)」で再録されるであろう「Mean」もたぶんそういう体験から生まれた曲の一つ。”mean” に「意地悪」という意味があることと、米国でも“ぼっち”やいじめられっ子の「便所飯」があることをこのMVで知った。