奇跡の姉妹

チャラン・ポ・ランタンのドイツツアーのドキュメンタリー。結成の経緯の話や、バックバンドであるカンカンバルカン楽団のメンバー一人一人へのインタビュー。二人の母親で、スタイリストや舞台美術を務めるアキさんへのインタビューもあって超貴重。

結成当時の話は過去の動画でも触れられていて、併せて見ると面白い。

チャラン・ポ・ランタンは小春さんの構想を実現するためのユニットで、ある意味小春さんが独裁者。映画監督などと同じで、一流の芸術は究極的には独裁からしか生まれえないと俺も思う。小春さん自身は「絵を描くときと同じ感覚」「絵はみんなで描いたりしないじゃん」と説明している。

チャラン・ポ・ランタンの前に、小春さんは MINORITY ORCHESTRA というバンドを高校時代に組んでやっていた。インストバンドだったが、初めて歌詞付きの曲を作ったのをきっかけにして、妹のももさんをヴォーカルとしてバンドに入れた。入れたとほぼ同時に二人でチャランポを結成して、MINORITY ORCHESTRA は解散となった。バンドメンバーが大学に進学する年齢になってバンド活動の都合が付かなくなった、と「蛇腹談義」では説明していたが、実はももさんがバンドのフロントパーソンとして入ったことで、バンド内の人間関係が壊れてしまった、という切ない話を2013年のインタビューで語っている。ただし、ドラムのふーちんさんだけは今もカンカンバルカンのドラムとしてずっと続けている。

チャラン・ポ・ランタン(Rooftop2013年3月号) – インタビュー | Rooftop

こういうのは会社でも、あるあるかもしれない。「ここは実質的にあの人の独裁制で回っている組織なのだ」と承知の上で入ったつもりでも、これ以上はもう付いていけないな、と思うときが来たりする。こういうのはどちらが悪いわけでもない。子供が成長とともに同じ服を着ていられなくなるのと同じように、人間関係にも更新のタイミングがある。