『Flow』

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彼女達も30代になって、分かりやすいラブソングなどはもうあまり歌わない傾向にあるが、「Flow」はいつにも増して茫洋とした詞で、なかなか凄い。ほとんど何も言っていない。「そうさ 僕らは流れ雲になる」。仏教的とすら言える無常観。晴れ晴れとはしていないが暗いわけでもなく、淡々としている。ここまで肉体性や情動から遊離した曲をポップスとして売るというのも凄い。以前にチュートリアルの徳井が「そのうちに Perfume は『概念』になる」「HDD の中のデータみたいになる」と言ったことがあるが、まあまあ当たってるかも。

カップリングの「マワルカガミ」は俺が参戦を断念した2021年のライブでいきなり歌われた「謎の新曲」。アマプラで見られる。こちらは「Flow」とは対照的に、非常に分かりやすい。ステージに立ち続ける三人を、ファンの思いという光を反射して輝くミラーボールという比喩で描いている。中田先生はこういう、三人の思いに作風を寄せるような作り方は昔は決してしなかったが、最近はたまにこういう曲をぽんと出してくるようになった。この1、2年は Perfume にとってもMIKIKO先生や中田氏にとっても、逆境といえることがいろいろありすぎたので、そんな時代の中でも折れずにやれることを続ける意味みたいなものを、曲の形で一度言語化しておく必要があったのかもしれない、という気はする。