「ネビュラロマンス 後篇」

CDリリースは9/17だが、8/18から配信で売られているので購入。CDはもはや売上の柱ではなく、忠実なファン向けの贅沢品という位置づけになったことを実感する。

付録BDは「初回限定盤」と「P.T.A. 会員限定盤」で収録映像が違う。よく訓練されたファンは2枚とも買うわけだが、両方買うと \6,490 + \7,920 = \14,410。普通のアルバム4枚分じゃん。高いなー。

9/23東京ドームも当選しているが、チケット代は \14,050 した。追加料金を支払うとVIP席にアップグレードできるサービスもあり、+\12,500 かかる。無理すぎるのでアップグレードはせず。

トップスターになったということなんでしょうけど、ちょっと最近の集金、苛烈すぎませんか。最近ファンになった若い子たちにはこのチケット代はなかなか出せないだろう。世のインフレ基調に自分の感覚と収入が追いついていないだけだろうか。

追記:U-18席というのが \10,000 で売られていた。失礼しました。一応配慮されているということですね。にしてもお高めではありますが。


Cipher
中田作品によくあるオープニング的な曲だが、今回は2分03秒もある。
再起動世界
アルバム全体に漂う’80sの空気を特にまとっている一曲。絶妙にダサくておっさんには懐かしい。「義体の地球人ばかりになった地球を三人が再起動する」というストーリーがこの曲で仄めかされている。
ネビュラロマンス
万博NTT館でも使われている先行配信曲。これもおっさんホイホイの名曲。あえての巻き舌発音が可愛い。
ソーラ・ウィンド
太陽風という天文現象について歌ったJ-POPが今まであっただろうか(竹内まりやの「磁気嵐」はあったな)。ガンダムカードゲームのタイアップ曲だが、むしろ国立天文台と早くタイアップすべき。「前篇」の「IMA IMA IMA」「The Light」のメロディが一部引用されている。サビであ〜ちゃんの美しいビブラートが聴ける。
Virtual Fantasy
AOR風。英語詞を頑張っている。あ〜ちゃん・かしゆかの高音の主旋律の裏にたまに聞こえるのっちのオクターブ下のコーラスがカッコいい。
Teenage Dreams
これはもう完全に’80年代アイドル歌謡。松本隆とかの世界。10代の青春を10代の子が歌っている曲、ではなく、実はいい歳をした大人が、もはや手に入らないはずの青春時代に戻ろうと呼びかけている内容で、よく考えるとグロテスクでもある。
Human Factory −電造人間−
操り人形として生きる人間の悲哀を描いた曲。この物語の地球人のことを言っているようでもあり、Perfume 自身のことを言っているようでもある。
Moon
円盤でリリースされた現在最後のシングル。作曲した当時は「ネビュラロマンス」構想の一部ではなかったのではという気もする。
exit
物語のエンディングにふさわしい、マイナーからメジャーコードに展開する壮大なサビ。無限ループだった世界を閉じる鍵をついに見つけて終わりにする、みたいな詞。
巡ループ
…と思ったら「巡ループ」で終わらないというオチ(笑)。この曲はネビュラロマンス構想とは別にドラマ「ちはやふる 〜めぐり〜」のタイアップ曲として作られ、後からこのアルバムに入れたと「音楽と人」で明かされていた(かしゆか「これをアルバムに入れるか入れないかで悩んだみたいで。結局入れることになったんですけど、そこから曲があがってこなくなって」)。まあ入れて正解だったと思う。いい曲すぎる。技巧と歌唱力に振れすぎている今の邦楽へのアンチテーゼとしても好き。

「巡ループ」は元々、広瀬すずたちが高校生だった「ちはやふる」の世界から10年が経ち、彼らが競技かるた部の顧問や名人となって現在の高校生と関わるという“めぐり”をドラマで描くことにちなんだ曲だったと思うが、ネビュラロマンス構想に後付けで入れ込んだ結果、機械の世界を消滅させて本来の地球を取り戻し、三人が「平和な地球」の世界線で2005年のPerfumeに転生するというMVになっている。かなりのアクロバットだが、何とか風呂敷を畳んでいて、「リニアモーターガール」の当時を知っているファンには泣けるラストもある。半分面白くて半分泣ける。

ノールックで弾をよけるのっちさん、なぜか膝下からハンドガンを撃つかしゆかさんが最高に良い。役目を終えて粒子に還元されてゆくあ〜ちゃんの表情は泣ける。

三人がリニアを練習しているラストシーンは、よーく見るとラジカセに細長い iPod をつないで音を出しているように見え、初代 iPod mini が2004年発売なので、田中監督はそのへんもちゃんと時代考証している気がする。

実際には高校時代のあ〜ちゃん・かしゆかは三つ編みにしていたので、そこは史実と違うが、三人の髪型はもはや記号なのでこれでOK。踊っているのはエンドクレジットに名前が出ているELEVENPLAYのYUさん・SHOKOさん・MAIさんであろう。ライブのリハーサルやCM撮影の位置合わせなどで、イレブンの中で体格が似ている三人がPerfumeの影武者を務めるという話を聞いたことがある。