紫金山・アトラス彗星 (C/2023 A3) 観測記

10/12(土)

圏央道から楽に行ける範囲で西〜西南西の低空が見えそうな場所ということで、鵠沼海岸あたりに行こうかと思ったのだが、IC から高速に乗るところで方面表示が「中央道」「関越道」の二択になっており、あれどっちだっけと思いながら間違えて関越道方面に行ってしまった。あほすぎる。

そのため圏央道を北上せざるを得ず、しょうがない、赤城山の西麓あたりに行こうと思い直した。関越道を渋川伊香保ICで降り、利根川河川敷に布陣。しかし低空の雲が多く、彗星は確認できなかった。コマだけ写ってるっぽいのが1枚だけあったが、どうにもならない。

群馬まで来たので低緯度オーロラが見えるかと思ったが、そちらももう消えていたようで空振り。上里SAで饅頭を買って帰る。

10/13(日)

天気予報が鉄板だったので午前中に出発。当初は富士山麓の富士ヶ嶺(旧上九一色村)に行こうと思っていた。昔、ヘール・ボップ彗星を見た思い出の地で、ゲンがいい。しかしGPVでは雲が出そうな予報だったので、茨城・栃木方面に変更。

なるべく西が平らで光害も少なそうなところということで、栃木県芳賀町の田園地帯へ。もう少し北上すれば高根沢町というところ。

Google Maps で布陣場所を考えていて気づいたが、この地域には「星宮神社」という、いかにも天体観測に御利益がありそうな名前の神社がたくさんある。全国に存在するようだが、栃木県南部には20社くらい集中している。布陣場所に一番近い星宮神社にお参りして、彗星が見られることをお祈りした。

ついでに、やはり布陣場所の近くにあった日枝神社にも参拝。こちらも地元の氏神様という風情。鎮守の森があり、雰囲気が良かった。シイタケ栽培の原木がたくさん置かれていた。

日没まで時間があったので「道の駅はが」へ。親への土産で梨を買う。温泉もあるらしい。

日没は17:07で、快晴だが西の低空だけ雲があった。金星とアルクトゥールスは見えていたので、金星とほぼ同じ高度の彗星もしばらくは大丈夫だろうと期待して待機。

日没の40分後くらいに彗星を発見。写真も撮れた。市街光や月明もあったが、彗星の存在は分かりやすかった。後半は雲に隠されたが、45分くらいは見えていた。コマの中央集光が強く、なかなかの彗星。高度5度くらいなのでコマも大気の吸収で赤く見えた。赤い彗星シャアじゃん。

尾は心眼で見れば5度くらいは伸びている感じ。上の画像でも雲の上まで伸びている。それにしてもこの彗星は青緑色の成分が全くない。

帰りの関越道は行楽帰りの車で大渋滞だった。

今年最大の天文イベントで、久々に彗星らしい彗星を見ることができた。ただしこれらの写真は画像処理で強調しているので、肉眼でこれほど見えるわけではない。市街地では双眼鏡がないときついし、「iステラ」などで位置を事前に把握していないと難しい。

コマの集光の強さは昨日が地球最接近だったおかげだと思うが、天気が良ければ今月はしばらくの間見えそう。他の人たちの写真を見ると、標高の高い場所の方がいいかも。今月は仕事も混んでいるので、自分はこれ以上の遠征はできそうにないが、これだけ見て撮れれば大満足。

こうして他の彗星を見ると、ヘール・ボップがいかに化け物だったかがよく分かる。あれは車を運転しながらでもフロントガラス越しに肉眼で見えていた。