H3成功

めでたい。1回目の第2段燃焼停止から2個の超小型衛星分離、さらに地球を1周してからの2回目の第2段着火・燃焼停止からの試験ペイロード分離、第2段制御落下まで完全に成功。文句なし。

今回の打ち上げ中継でも、試験機1号機の時と同じく、かつてディスカバリーチャンネルの番組に出ていた三村ことみさんが進行役で登場していた。衛星分離が確認できた後、いろいろなことを思い出したのか、ことみさんが感極まった表情になっていたのが印象的。1号機のときは、第2段のトラブルが分かった段階でお別れの挨拶もなしに進行役のお二人が画面から消え、中継が終了してしまった悲しい記憶がある。今回はエンドロールまで流せてよかった。

H-IIAの後、H3がなぜ今必要で、開発段階でどんなことがあり、1号機の失敗から2号機までに何がなされたか、といった情報は、JAXAが公開しているH3のプレスキットにすべてまとめられている。このプレスキットは凄い。134ページもあるが、一気に読んでしまった。初心者にも分かりやすい表現で大変読みやすい。

これから、H3の Return to Flight までのドラマがいろいろなメディアで語られるのかもしれないが、成功/失敗を単なるドラマとして消費してしまうのは個人的にはあんまり好きではない。H3 はこれから日本の基幹ロケットとして10〜20年使われる社会インフラであり、こんなところで足踏みをしていてよいものでもないし、日本の宇宙開発の実力があればこれくらいは淡々と上げて当然のはずなので、今回のドラマ的側面にいつまでも浸っていても仕方がないというか、H3 がドラマにならない日が早く来て欲しいと思っている。Falcon 9 は第1段が海上プラットフォームに自律帰還してきても、もう誰も騒いでないわけだし。

ロケットはトラック・鉄道・飛行機と同じく輸送手段なので、淡々と荷物を宇宙に運ぶのがあるべき姿で、本来は打ち上げのたびに一喜一憂するようなものではない。もちろん、H3の開発に新規性もなくはないが、そういう意味で今回の成功は、「はやぶさ2」や EHT のような「前人未到の偉業」とはちょっと性格が異なる。

例えるなら、模試でA判定だった第1志望の大学に合格してよかったね、みたいな感じ。喜ばしいのは確かで、A判定だったからって受験勉強の苦労が皆無だったはずもないのだが、もっと高みへ行けるはずだし、行くべきものである。受験勉強の時期に起こったさまざまなドラマをいつまでも回想するよりは、受かった大学でその人がこれから何をしていくかという話をする方が健康的かなと。