出現して以来、個人で情報発信できる手段が飛躍的に増えたので、科学の分野に関しても研究者の方々が自ら SNS や web や YouTube で盛んにアウトリーチできる時代になった。専門家が直接語るのだから間違いは入り込まないし、プレゼンテーションが上手な人もたくさんいる。半可通の自分がわざわざ媒介して情報を伝えるのって意味あるのかなぁと、自分の存在意義が分からなくなりがち。
小学生の頃にNHKで夕方6時から『600こちら情報部』という番組をやっていた。何だろうな、子供向けの情報番組だった。マンガ・アニメとかそういうまるっきり子供向けのネタではなくて、世の中全般のことを扱う番組だった。当時の NHK はまだ硬かったから、民放と同じような軟弱な番組は作らなかったんですよね。でも面白かった。
そこでたまにこども電話相談室的な企画をやっていて、科学の質問に答える回答者として科学ジャーナリストの餌取章男という人が出ていた。この人がカッコ良かった。何でも知っていて分かりやすく科学のことを教えてくれるように見えて。まだ名前に日経が付かないころの『サイエンス』を創刊して初代の編集長を務めた方らしい。まだご存命のようだ。この餌取さんと加古里子さんが、科学コミュニケーションという分野での自分のアイドル。
ああいうふうになれたら、とどこかでずっと思っていて、いろいろ迷走した末に今ちょっとそれに近い仕事をさせてもらえている。昔自分が彼らを尊敬したように、今の自分は、自分が生活のために四苦八苦して納品したものを手に取ってくれる若い人から見て、多少はカッコ良く見えているのだろうか。分からん。最近ちょっと疲れてる。
あと2本書かないと。なるはやで。