自給自足生活

「真相報道バンキシャ!」で、地球に優しいとか SDGs とかがテーマのお話をやっており、親が見ていたので俺も何となく見ていたら、青森で自給自足生活をしている一家というのが出てきた。よくテレビの取材も受けている有名な一家らしい。

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電気ガス水道契約してません、自給自足してます、ということらしく、まあ好きなように生きればいいと思うが、いろいろ首をかしげるところもあった。

自給自足と言いつつ、文明否定というわけでもないらしい。電気も車も PC も使っている。自給自足生活のレクチャーをして現金収入も得ているようだ。電気はソーラーパネルで発電してバッテリーに蓄電していた。

自宅は建築廃材を使って DIY で建てたという。煮炊きの燃料も廃材らしい。「自分の生活のために、生きてる木を切りたくない」みたいなことをおっしゃっていた。いやいや、あなた方は廃材を使えば木を切らずに済むかもしれんが、その廃材はもともと、他の誰かが木を切って生じたもので、この一家はそれにタダ乗りしているだけだ。全員が彼らと同じ生活を始めて誰も木を切らなければ、廃材はどこからも出てこなくなる。そのへん、どう考えているのかいまいち謎。

水は湧き水を使っているが、周囲の田畑にまかれる化学肥料のせいで硝酸性窒素が基準値を超えていて飲めないので、飲用水は別の湧水まで車で汲みに行っていた。身近に出る湧き水が化学肥料のせいで飲めなくなるのはどうなんだ、みたいなことも言っていた。まあ気持ちは分からなくもないが、化学肥料のおかげで人類の食糧生産力は飛躍的に上がり、多くの人口が飢えから解放されたという歴史がある。ハーバー・ボッシュ法は凄いんですよ。化学肥料がなくなれば、飢饉であっさり餓死したり娘を売ったり子供を間引いたりする時代に戻るだけだが、彼らがそのへんをどう考えているのかも謎。

トイレの糞尿は堆肥にして自分の畑の肥料にしていた。その堆肥も雨が降れば地下に染みこんで、お前らの大小便で地下水が大腸菌やら硝酸性窒素で汚染されるわけだが、それはいいのか。あと、糞尿で作物を作ると必然的に寄生虫感染のリスクが増えるよね。みんな回虫持ちになるけどいいのかしら。

「俺たちは地球に優しく生きたい」と言いつつ、高度なテクノロジーのなかった時代がどれほど人間にとって苛酷だったかを学ぶこともせず、「地球に優しくない」人たちのおこぼれにタダ乗りしながらファッション的に自給自足を演じてる感じが、非常にもやもやした。