CO2を吸収するドローン

今日の NTV 「真相報道バンキシャ!」で取り上げられていた件。小学校3年生が夏休みの自由研究で「CO2 を吸収するドローン」を作ったという話。小3にしてドローンや MacBook を買い与えられ、プログラミングや電子工作に励んでいる姿はうらやましく、やはり「持つべきは太い実家」だなーと思った。

件のドローンはプログラミングのコンテストで賞を取ったと紹介されていたが、CO2 吸収剤をドローンに積んで空気中の CO2 を減らすというアイデアは、まあ子供の浅知恵であり、まともに評価するなら全然ダメである。周囲の大人達がそれを全く指摘せずに、すごいすごい、夢がある、などとおだてている様は、彼自身にとっても気の毒に思えた。

CO2 は窒素・酸素より重いので、ことさら空中で回収する必要はない。また、ドローンを飛ばすための電力や装置の材料などを作る過程で CO2 が発生するし、吸着された CO2 が再放出されず固定され続けるかどうかも明らかではない。少なくとも、装置を地上に設置すれば飛行のための電力は不要になり、その分 CO2 が発生せずに済む。もっといえば、わざわざ人間が機械で何とかするまでもなく、植物を植えれば済む話かもしれない。真面目にやるなら、正味でちゃんと CO2 が減っているのか、他の手法よりも効率的に減らせるのかを評価しなければ意味がない。もしこのアプローチが有効なら、すでに飛行機に CO2 回収装置が搭載されて飛び回っていないのはなぜなのか、考えなければならない。

どうもこの子は「ドローン飛ばしたい」が先にあって、後付けで「地球を救う」的なお題目を盛り込んだようにも思える。SDGs 界隈にはこういうのを良しとする風潮がどうもはびこっていて、見ていて辛い。

ただ、手を動かして何かやったり考えたりする楽しさを知るのは悪くない。自分がこういうのを「いいでしょ?」と見せられたときに、「今君が作ったものは unko だけど、自分で考えたり作ったりすることはすごくいいと思うよ」というのを、子供を傷つけず、やる気を失わせることなく伝えるにはどうすればいいのか、自分にはよく分からない。ただ、取り組もうとしているハードルの「本当の高さ」を隠さずに教えてあげることも、大人の責任ではあろう。そこから逃げている周囲の大人やテレビ局の連中にはずるさを感じる。