谷口義明さん(1954-2026)

友人からのLINEで訃報を知った。合掌。

渡部先生も9日にツイートされていた。

学部生のときに学科の助教授の一人として谷口さんがいて、「星間物理学」の授業を受けた。講義も学会発表も話し上手で、プレゼンの仕方が大いに勉強になった。

谷口さんの専門は銀河やAGNの観測で、EHTがM87の超大質量ブラックホールのシャドウを撮影したときの記者会見場に谷口さんが来ていて、司会の山岡さんから特別にコメントを求められていたのを覚えている。

改めて動画を見返すと、「『活動銀河核のエネルギー源が巨大ブラックホールである』というパラダイムは本当に大丈夫なのかという疑問に対して、EHTが最後のピースを埋めた、まさに『百聞は一見にしかず』の成果だ」というようなことをおっしゃっている。

谷口さんがこういう言い方をしたのには理由があって、谷口さんが1996年にグリニッジ天文台に客員研究員で滞在したときに、Roberto Terlevich という研究者が向こうの受け入れ教官だった。Terlevich は「銀河中心に巨大ブラックホールなんかない、ウォルフ・ライエ星や超新星爆発で AGN は説明できる」という説を信奉していたという。1990年代末になってもまだそういう人がいたというのを肌で知っていたからこそのコメントだったんだな、と思う。

口髭とアロハシャツというイメージで、お洒落な人だった。学生時代は「なんかギラギラした人」という印象だったが、近年は宮沢賢治やゴッホと天文学の関係について書いた本なども出版されていて、意外とロマンチストだったんだなと思っていた。note も執筆されていた。

放送大学で天文学の講義を長年担当されていたので、テレビでちょいちょいお姿を拝見していた。ついこないだ、テレ東の「新美の巨人たち」に出演されているのを見たのが最後となった。

今、神戸・福島・東京を巡回する「大ゴッホ展」で《夜のカフェテラス》が来日している。この作品に描かれている星々が何だったのかを天文学的に同定する、という話を番組でやっていて、谷口さんがコメントをしていた。ずいぶんやつれたな、と思っていたが、まさかこれが最後になるとは。