来週。
- 10/7(月)18:30 医学生理学賞
- 10/8(火)18:45 物理学賞
- 10/9(水)18:45 化学賞
CEST と JST の変換がいつも分からない。CEST+7h=JSTらしい。UTで書いてくれないか。
恒例の、物理学賞で天文がとるかという話だが、最後に天文分野に出たのは2020年、Penrose, Genzel, Ghez でブラックホールの理論と観測だった。2021年は複雑系物理(気象予測の真鍋先生もなぜか受賞)、2022年は量子もつれ・ベル不等式などの量子情報実験、2023年は光アト秒パルスの実験。確かに、そろそろ天文でまた出てもいいタイミングではある。
天文分野の候補リストは去年も書いた。補足して再掲。
「そろそろ獲るのでは or 俺が選考者ならこの人にあげる」リスト2024
- 重力レンズ像 (SBS 0957+561) の発見
- ただし発見者の Walsh は2005年没。獲るなら別の人になる。
- 宇宙の大規模構造の発見
- CfAサーベイの Huchra & Geller (1998) が有名だが、Huchra は2010年没。
- ノーベル物理学賞の「予言賞」とも言われるウルフ賞物理学部門では、2015年に Kirshner が「Ia型超新星を使った観測的宇宙論」で受賞している。Kirshner は加速膨張を発見してノーベル賞を獲った Schmidt, Riess の師匠。1981年に銀河の赤方偏移サーベイで「うしかい座ボイド」を発見しており、これはCfA第1期サーベイと同時期で第2期サーベイよりは早いので、Geller とセットで「大規模構造の人」としてもらうかもしれない。
- 冥王星以外の海王星以遠天体 (1992 QB1) の発見
- Jewitt & Luu (1992)。人類の「太陽系観」を更新させたという意味で、個人的には一番獲ってほしい二人。
- Gunn-Peterson の谷の検出
- 1965年にこれを予言した Gunn と Peterson も、ともに存命。
- SDSS の観測でこれを検出したのは Becker et al. (2001)。宇宙の晴れ上がりの後に暗黒時代があり、最初の天体によって水素が再電離されたという現代宇宙論の根本教義を裏付ける重要な発見。
- 宇宙論パラメータの決定 (WMAP)
- 宇宙年齢138億年など、各パラメータをほぼ3桁の有効数字で決めた功績 (Spergel et al., 2003) は大きい。
- WMAPは他の賞をいろいろ受賞済み。ノーベル賞を獲るとしたら PI の Charles Bennett と、Lyman Page, David Spergel あたりになりそう。
- バリオン音響振動の検出 (SDSS)
- Eisenstein et al. 2005。ビッグバンモデルの正しさを示す強い証拠の一つ。
- よく分からないが Martin Rees 卿
- 南部や Peebles と同じく、偉い人すぎて何が最大の業績なのか分からないというタイプの人。2024年のウルフ賞物理学部門を受賞。受賞理由は「高エネルギー天体物理学、銀河、構造形成、宇宙論における基礎的な貢献」。いやもう全部じゃん。
こうして見ると、「銀河サーベイ」というくくりでCfAサーベイ (Geller) と SDSS の誰かに出してもいい気がする。SDSS を代表する人物というのはよく分からないが、やはり James Gunn だという説もある。2019年の京都賞は Gunn が受賞している。
「いつか獲るかもしれないが今じゃないだろう」リスト
- インフレーションモデル
- ブラックホールシャドウの直接撮像 (EHT)
- 重力理論と量子論の双対性の発見(ブラックホール熱力学、ホログラフィー原理、AdS/CFT対応)
といろいろ書いたが、個人的にはそろそろまた工学分野にぽこんと出すのではという気もする。2014年の青色LED(赤崎・天野・中村)以降、工学には出ていない。世界を変えたという意味では昨今の Transformer ベースの AI なども大きいが、そこまでいくと、もはや全く物理ではないただの情報科学なので、さすがにないだろう。AI に出すならインターネットの発明にも出さないと不公平だろう。
「笑点」の次の大喜利メンバーみたいに、根拠がないまま無責任にあれこれ予想するのは楽しい。
Comments
“ノーベル賞の季節” への1件のコメント
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