SLIM、3回目の越夜

なかなか頑張っている。

少し不思議なのは、これまで2回の越夜では、夜が明けて昼を迎えて月面での夕方くらいの太陽高度になってようやく電源が入るという感じだったのに、今回はかなり太陽高度が高い段階で再起動した点。起動した23日夜というのが具体的に何時なのか不明だが、仮に24時だとしても太陽高度は60度以上ある。何が変わったのか謎。カメラの写野に変化はないようなので、月面に逆立ちしているSLIMの傾きが変わったとかではないっぽい。

過去の月着陸機が月面でどのくらい生存したのかという情報をまとめて見られるところが見つからなかったので、Wikipedia 英語版で調べてみた。以下がそのランキング。硬着陸で壊れたようなものは除き、月面到達後にわずかでも通信が確立した宇宙機はこれですべて。

SLIMは4/24で96日ということで、おそらく今回の活動中(〜29日朝まで)にサーベイヤー5号の記録を抜いて歴代8位になる。さらにあと2回越夜に成功すれば、+60日ということでルノホート2号も超える。

中国の探査機はあまり情報がオープンでないが、一応 Wikipedia の記述を信じれば、嫦娥3号、4号+玉兎2号は現在も運用中となっている。嫦娥3号に至っては10年以上動いている。

中国の探査機とソ連のルノホートは、放射性同位元素の崩壊熱を利用したヒーター (RHU) を搭載しているため、夜の期間も保温できる仕様になっている。嫦娥の RHU は30年もつという話もある。サーベイヤーは RHU 非搭載だったようだ。それで219日ももったサーベイヤー1号は凄い。電子回路が微細化される前の時代なので丈夫だったのかもしれない。そう考えると、越夜用の機能なしでここまで生き続けているSLIMも凄い。