一般のメディアにも取り上げられて話題に。
よく勘違いされることだが、論文が出たというのはゴールや結論ではなく、議論のスタートなので、現時点で言えるのは「戸谷さんがこう主張されている」というところまでである。これから10年20年かけて検証や追観測がおこなわれるのだろう。
個人的感想としては、銀河ハローのガンマ線放射から天体やフェルミバブル起源のガンマ線を*ちゃんと*差し引くのはなかなか大変で、そこの匙加減次第では今回のfeatureも消えてしまったりするのではという懸念と、500GeVのWIMPだとすればすでにLHC(CERNにある世界最大の粒子加速器)で見つかっていておかしくないのでは、という疑問がある。
凄いなと思うのは、この論文が単著であること。紙と鉛筆でできる純粋に理論的な論文だとそういうこともあるが、観測データ解析の論文はたいてい複数の研究者や自分の研究室の学生を交えて分担作業をして共著にするのが普通で、お一人でやられたのはちょっと凄い。
戸谷さんは2020年に、RNAワールド的な生命の発生過程を考えると、ランダムな化学反応で生命の素になるようなRNAが生まれる確率は、観測可能な宇宙(138億年×光速)の範囲内に1つしかなくてもおかしくない、つまり観測可能な宇宙の中に生命は我々しかいないかもしれない、ただしインフレーションした宇宙全体では無数に生まれているかもしれない、この両者は矛盾せず両立する、という論文を出した。単著で。
今回の論文もそうだが、多くの人が尻込みしそうなビッグイシューに正面から取り組んで、数年に一度、ぽんと単著で論文を出してくるという生き様がカッコいいなと思っている。
川中宣太さん(都立大)による連ツイ。
有松亘さん(京大)によるポスト。
主に向こうのSNSで話題になっている例のWIMP検出(?)論文だけど、一般論として、観測波長によらず、ああいったdiffuseな輻射に対して観測機器由来のアーティファクトやゴースト、前景輻射を含む他のソースからのコンタミを適切に差し引いた上で評価するのは極めて難しいことは認識されておくべきだと思う。
@arimatsu.bsky.socialによる投稿 — Bluesky
(当該論文は斜め読みしただけだし専門外なので評価しないけど)少なくてもinstrumentationとデータ解析と想定されうるコンタミ輻射に対する極めて精緻な知見と慎重な態度を持った人が実施した研究でない限り、正直文言通り受け入れるのは難しい成果ではないだろうか。
