Perfume ZO/Z5 Anniversary “ネビュラロマンス” Episode TOKYO DOME

9/23(火)

@東京ドーム。物販でTシャツとラムネとフライトタグを買った。タオルはP.T.A.限定のやつが売り切れていたので買わず。家から持ってきた「ネビュラロマンス前篇」公演のタオルを使った。

5年前の2月26日にこの東京ドームで、コロナ対策として政府の要請で開場の数時間前に公演中止となって涙をのんだファンが5万人いて、自分もその一人だった。もう5年も経ったかー、と感慨にふけりながら、ファンの皆さんの賑わいを眺めた。

15時に入場が始まると、入口近くで「…先日コールドスリープを発表したPerfumeの最後の公演が…今、入場が始まりました。…」のような声が聞こえてきた。どこかの情報番組の取材陣がいたらしい。

今回はアリーナを引いた。しかもブロックの1列目。VIP席ほど近くはないが、アリーナは久々かも。神の思し召し。

17時開演だったが、20分くらい押していた。Perfume のライブでは手拍子で開演をじりじり待ちながら「あーーーちゃーーん」「のっちーーー」などと高まった人たちが叫ぶのが通例で、30分くらい手拍子が鳴り響いていた。いつ頃からこの習慣が始まったのか記憶にないが、ロフトとかの小さい箱でやっていた頃からたぶん自然発生的に起こっていた。それがそのまま今も定着してますね。

場内は開演前であっても撮影禁止が普通だが、今回は「開演中に限り」中止です、とわざわざスタッフの人が繰り返し拡声器で告知していた。つまり開演前と終演後は撮ってもいいよということで、ありがたく撮らせていただいた。最終日ならではの計らいだったのかもしれない。

手拍子を聴いているだけで、いろんなことが思い出されてうるうるしてしまう。今回のライブでは周りの人たちも、もっぱら汗を拭くのではなく涙を拭うためにタオルをしきりに使っていた。泣きながらあ〜ちゃんのMCに爆笑したり叫んだり、情緒がおかしくなって最高だった。

以下、生配信のアーカイブを見ながら列挙。

GAME
ネビュラロマンス後篇の舞台セットがあると思っていたら、「もう一度、あの日から始めよう」という三人のナレーションの後、幕が振り落とされて5年前の「”P Cubed” in Dome」ライブのセットが出現。あの日やるはずだった1曲目の「GAME」がスタート。5年前に観られなかった人たちはこれだけで号泣したはず。「ZO/Z5」(20/25)というのは「結成25年・メジャーデビュー20年」という意味であり、「2025年」という意味であると同時に、「2020年のあの日を2025年に取り戻す」という第3の意味も含まれていたのだ、と即座に理解した。
再生
ここで「後篇」の曲ではない「再生」をやったのも、「もう一度始めよう」の意味がこめられていたのだと思う。泣くじゃんこんなの。救われた。
Cipher
ここから「後篇」の衣装に替わってネビュラロマンスの物語の始まり。
再起動世界
こんなにライブ映えする曲だとは思わなかった。すごくいい。「Start Again」の詞のところで三人がそれぞれ、ショットガン・ライフル・二丁拳銃を構える「後篇」のジャケ写のポーズをするのが良すぎる。
今回初めてだと思うが、ドローンカメラが三人の周りを飛び回り、その映像がリアルタイムでスクリーンに映っていた。NewJeans の「How Sweet」のMVでも使われてる、すごく小さいやつ。めちゃカッコ良い。
この曲がこの公演限りでしばらく(あるいは二度と?)見られないのは惜しい。
ネビュラロマンス
名曲。T-SQUAREのEWIみたいな音がずっと鳴っているのが好き。途中で指で星を描く振付は「Twinkle Snow Powdery Snow」のオマージュだと勝手に思っている。
MC
かしゆかの恒例アンケート。Perfume のライブに初めて来た人が結構いた。
コールドスリープすることを「すぐに受け止めなくてもいい」「でも悲しい話じゃないから」と優しく言っていたのが印象的。
スタンド席には「『ディレイ』いうもんがある」のでコール&レスポンスは食い気味に反応するように、と言って練習させるあ〜ちゃんに笑。
エレクトロ・ワールド
名曲。曲を聴いていて、Perfume はいわゆる「セカイ系」なんだな、と改めて気づいた。単にエレクトロやテクノポップというだけでなく、ポピュラー音楽にセカイ系の設定を持ち込んでこれだけ売れたのが新しかったんだな。まあエレクトロ・ワールドの時点では全然売れてなかったわけですが。
ソーラ・ウィンド
「リニアモーターガール」「コンピューターシティ」「エレクトロ・ワールド」のSF三部作を Mr.MIC のショーで歌う三人の映像から、センターステージに三人が出現して「ソーラ・ウィンド」。「後篇」の中でもかなり好きな曲。かしゆかのソロ、いいですよね。ステージに座ったのっちさんの太股がやばかった。
スクリーンにレーザーを飛ばして映像とシンクロさせる演出あり。ラスベガスの「Sphere」でこれが使われている動画を見たことがある。こういうのを早速採り入れるチーム Perfume、さすが。
Virtual Fantasy
3方向の花道に三人が展開。チルな英語詞のダンスナンバー。「ネビュラロマンス」前後篇のレコーディングはアソビシステムのディレクターさんが仕切り、この人は帰国子女なので英語の発音をかなりちゃんと直されたと三人がインタビューで言っていた。この曲も含め、英語詞の譜割りがかなり自然になっているのもこの人のおかげかも。
花道ステージ間の移動はキックボードで。可愛い。
映像パート
今回、ステージのスクリーンだけでなく、東京ドームの超横長リボンビジョンも演出にフル活用されていた。すごく良い。
FUSION
おなじみの影の演出がドームの天井まで使って披露された。すげー。おそらく史上最大の「FUSION」。
映像パート
2014年「ぐるんぐるん」ツアーの映像パート曲「EPISODE 0」。ロボットアーミー役で、MIKIKO先生のダンスカンパニー「elevenplay」が登場。Perfume のライブでは三人以外はステージに立たないのが長年の不文律だったが、2021〜2022年の [polygon wave] 公演で初めて elevenplay と共演した。そのとき以来のイレブンさん。暗闇で自分にライトを照らしながらのアニメーションダンスという先生のアイデアが凄い。何でこんなの思い付けるんだろう。
Perfumeの掟
イントロが流れた瞬間、おい嘘だろ、とファン歓喜。2010年の初東京ドームでやった伝説のダンスパートを完全再現した。泣くでしょ。集大成なんだから全部やっちゃるよ、というチームの気迫を感じる。スクリーンの中で三人が今回の衣装と2010年の衣装をCGで複雑にシャッフルされながら踊り、その前で生身の三人が映像に完全に合わせる。「凄い」しか言えない。
「10人のかしゆか」。当時は技術的限界で映像のディレイを解消できなかったが、今回はほぼ遅延なしで生身のかしゆかと同期していた。しかも高解像度で。
あ〜ちゃん。花道の風船をレーザーガンで割る。割った後にポニーテールを回してキメ顔を作る演技まで完全再現。
のっち。2010年の「掟」では1〜11の数字に合わせて代表曲のポーズをしていく演出だったが、今回は12〜25で2012年から2025年までの曲のポーズを披露。
2012:Spending All My Time
2013:Magic of Love
2014:Cling Cling
2015:Pick Me Up
2016:FLASH
2017:TOKYO GIRL
2018:無限未来
2019:再生
2020:Time Warp
2021:ポリゴンウェイヴ
2022:Flow
2023:Spinning World
2024:The Light
2025:Moon
でした。歴史だ。
2010年の「掟」でかしゆかが満足のいくパフォーマンスができなくてその後ずっと引きずっていたという話が Perfume 史の中で繰り返し語られていて、どこを失敗したのかについては諸説あってよく分からないのだが、今回の再演では余裕が感じられた。もう一度演じることで15年の呪いをようやく解いたのかもしれない。
Flow
センターステージにて。これは自分の実存がいずれ雲となって流れてゆくという、諸行無常や解脱を感じさせる曲で、最近のあ〜ちゃんが好きな曲として挙げていた。シングル曲としては地味な方だと思うが、これをセットリストに入れたところに、「Perfume の物語をいったん閉じるけど、Perfume はこれからもみんなの中に遍在しているよ」という三人の思いを感じる。
Teenage Dreams
ボックスに座って歌う三人。昔から彼女達はいつでも自分たちのことを謙遜して、アイドルだとは決して自称しなかったが、この曲をわざわざハンドマイクで歌ったところに、アイドルを演じろと言われれば勿論できますよ、という矜恃を感じた。
Human Factory -電造人間-
「私たちは飼い猫」なので、ネコっぽい振付。本人役で出演したタイアップ映画の中で流れたくらいで、この公演で披露されるのが最後かもしれない。超貴重。
映像パート
2016年のアルバム「COSMIC EXPLORER」の1曲目「Navigate」がBGM。
Moon
「shake, shake 空を舞うよう」の振付が好き。たぶん全員好き。
exit
ネビュラロマンスの物語の大団円。荒廃した地球を蘇らせたのと引き換えに消滅した三人が、実は並行宇宙に転生していたことが3年後に判明するというエンディング。映画「ネビュラロマンス」の名場面が流れ、エンドロール。泣くでしょこんなの。もうこのへんまでで泣きすぎて目が腫れぼったくなってました。「3年後」という設定が実は予言だとしたら、Perfume の復帰も2028年なのかも。
ポリリズム
「Remixed by Yasutaka Nakata」の文字とともに、衣装を替えた三人がセンターステージに登場。ここから神曲DJメドレー。過去の「ポリリズム」の stage mix 映像とともに歌う。生で見る「ポリリズム」はこれが最後かも、と思うと泣けてしまうので、なるべく考えないようにした。銀テープが飛んだが、風に流されて自分の方には落ちてこなかったのが残念。
Butterfly
まさかの。アルバム「GAME」の名曲だが、ライブでは衣装替えの曲として使われたくらいで長年歌われておらず、2018年の「Reframe」公演で初めてフルの振付が付いた。メドレーながら久々に聴けた。
edge
フルでやるかと思ったらメドレーに「edge」をぶち込んできた。「Say Yeah!!」を全員で叫ぶ。
チョコレイト・ディスコ
「edge」からこんなに綺麗につながるんだ、という発見。「期待してる男の子」でかしゆかがウィンクしたのを俺は見逃しませんでしたよ。配信のアーカイブでもちゃんと抜かれていて大満足。
P.T.A.のコーナー
年齢アンケート。最多は30代か。20代〜50代がコア。20代の子たちは小学生時代に聴いていたってことか。「年齢なんて関係ない、一生青春」と言うあ〜ちゃん。
当然のように「歯みがきの歌」をやったが、「ultra soul」とかはなかった。生配信があるので自粛したんでしょうか。
「かぼちゃ」「ススキ」「栗拾い」。栗を投げ合う三人。「うっうー!」と言いながら投げられた栗をかわすあ〜ちゃんに笑。
NIGHT FLIGHT
懐かしい。アルバム「⊿」(2009年)の曲。いまだにアイスを買うときはしばしば「ピノ」を買っている。
MY COLOR
ライブの締めくくりに使われる大事な曲。曲の途中で歌はそのままに「リニアモーターガール」の振付を入れるという遊びもあった。最後、三人が手をつないでスキップしながらメインステージに帰るところ、美しすぎて泣く。
MC
アーカイブで見直したら25分以上あった。
かしゆか「さみしくなったら、いっぱい聴いてくれていいんだよ」「また帰ってきます」。
のっち「一人でシャワーをしているときにはみんなへの言葉がぽろぽろ出てくるのに、今はこれがせいいっぱいです。ほんとにありがとう」。
あ〜ちゃん「自分たちが思い描いていた夢はとうに叶っていて、具体的に考えていたのは東京ドームくらいまで」「コールドスリープするのに、みんな何ていい人たちなんじゃろう」「みんな遊びたいじゃろうに、自分がやりたいことや見たいことよりも、相手の幸せを願えるなんて、本当に素敵な関係だと思います」「Perfume は一生続けます。私たちは挑戦してみたいんよ」。
映像パート
「願い」とともに過去の映像集。変わっていないようで、みんな綺麗になった。MIKIKO先生も若かった。
巡ループ
やっぱり最後はこの曲だよな。この曲の振付自体に過去の曲の振付がたくさん入っていて、「Perfume 第一部」の総括になっている。
Ending
白の衣装でセンターステージから3方向に分かれて歩き、カーテシーとともに消える。3方向から中央に集まった2010年東京ドーム公演のオープニング「GISHIKI」と全く逆の演出。最後まで完璧だった。
スクリーンには「SEE YOU AT THE NEXT STAGE」の文字が残った。いつか必ず帰って来ますよ。

最後のあ〜ちゃんのMCで、コールドスリープは「周りの人たち」から提案されたという話があった。なぜ休むのかという理由は結局よく分からないのだが、30代のうちに仕事以外のことにもしばらく時間を使って、若いうちにしかできないことをした方がいいというアミューズまたはレコード会社の配慮があったと想像できる話だった。たくさんの人たちからアドバイスをもらったともMCで言っていた。先日のちゃあぽんとのラジオ「West Side Story」では、三人の母が会議をしたという話と、既に契約で決まっている仕事があるのでそういうものは2026年中に出るものもある、と言っている。

ラジオを聴いて、ぶっちゃけ、ライブの動員数も理由の一つなのかなという気もした。「Perfume の活動はライブが第一」で、「一番良いこのタイミングでいったん閉じたい」という話なので、行間を補うと、ライブツアーが埋まらなくなってきたというような要因が(実際そうなのかは知らないが)ありそう。

「ネビュラロマンス前篇」のライブは全国ツアーだったので、「後篇」を受けたツアーも当然全国を回るものだと思っていたが、結果的に東京ドーム 2days になったのが少し不思議ではあった。箱が取れなくてこうなったという話だったが、「前篇」ツアーで席が余ったという結果がもしあったのであれば、それを踏まえての選択と考えると一応つじつまは合う。根拠はないけど。(粉雪)

Perfume は1988年度生まれなので、K-POPで言えば第2世代のKARA・少女時代の最年長メンバーと同い年。欧米で言えばアデルが同い年、テイラー・スウィフトが1歳下。テイラーより年上なんすよ。そう考えると、もうとっくの昔に「大御所」にチェンジしていていいはずなのだが、今でも後輩アーティストと TikTok でがつがつコラボしたりしている。

そのへん、もう少し大御所らしいゆったりした活動にシフトするために休むということもあるかもしれない。一生 Perfume でいるためのコールドスリープ、という言葉にはそういう含意もあるのではないかと。考えすぎかもしれないが。

個人的には、40代も50代も近未来型テクノポップユニットでいて欲しい。「私がオバさんになっても」を歌う森高千里(56歳、2児の母)も、「そろそろオバさんになっているかと思ったらまだなってなかった」とコメント欄で書かれるくらいだから、十分に可能なはず。

今回のライブ映像は、後日映画館でディレイビューイングされると告知されている。見に行くしかねぇ。タオルを持って。


ライブ初日に発表された Perfume 2026年カレンダーの三人が、2004年のインディーズ時代のシングル曲「ビタミンドロップ」と全く同色の衣装だったことにもファン界隈が感激している。分かる人だけ分かればいいという、このツンデレーション。