『Newton』2022年6月号

にて、「灼熱の物理学」という読み物記事を書きました。世の中の「熱い現象」についていろいろ解説。よろしければご覧ください。

Newton (ニュートン) 2022年 06月号 [雑誌]

俺もこれを書くまでずっと勘違いしていたが、ガスの炎が青いのは熱放射のピークが青色になるような温度だから、ではない。OB型星のスペクトルを考えれば分かるが、熱放射で青色が卓越するためには2万度を超えなければならない。ガスの炎は1800℃程度なので全然低い。

ガス火の青は燃焼ガスの炭化水素が分解されて C-C や C-H のようなラジカルができ、これらが出す輝線である。特にC2のスペクトルは Swan さんという人がガスバーナーの火を分光して発見したので Swan バンドと呼ばれる。彗星が青緑色に見えるのもこれらのラジカルの輝線が原因。彗星の色がガス火の青色と同じ仕組みで発光しているというのは、科学コミュニケーション的には興味を引くネタになりそう。