ロシア軍の予備役動員

まだ予備役の一部を動員するだけなのになぜ国民がてんやわんやになっているのか不思議だったが、まずロシアは徴兵制の国だというのを忘れていた。

あの国では18-27歳の男性は1年間の兵役に就く。大学生・大学院生や障害者を介護している人、2人以上の子持ちのお父さんなどは徴兵時期に猶予があり、博士号を持っていると兵役は免除されるらしい。

そうして兵役が終わった人は、自動的に予備役に登録される。ただし予備役にも active/inactive の2種類あって、全員自動登録されるのは inactive の方。active な予備役は inactive な予備役の中から志願で登録できる。

戦時になると、「active な予備役」がまず動員される。今般の戦争ではこの段階はすでに行われている。今回の大統領令は、この次の段階である「inactive な予備役」も動員するという命令で、この層まで召集するのはロシア連邦軍の歴史上初めて。ただし inactive な予備役を動員する場合にも、年齢や階級で3段階くらいステップがあるらしい。

予備役が全体で何人いるかというのはどうもよく分からない。英語版 Wikipedia には、ロシア軍の兵力として現役が100万、予備役が200万と書いてある。一方で、inactive まで含めた予備役全体で、2009年時点では3100万人くらい動員可能という推定も載っている。active な予備役が200万、inactive まで入れて3100万という意味なのだろうか。

ロシアの人口は日本より少し多い1億4000万人、つまり男性は約7000万人という規模なので、上の解釈が正しければ inactive な予備役はロシアの全男性の4割以上を占める。その彼らについにプーチンが(第1段階にしろ)動員をかけたということであれば、ロシア人全員にとってもはや他人事ではないというのもまあ分かる。国外に逃げてないでちゃんとお前らの手で政権倒せよ、とも思うが。

Russian Armed Forces – Wikipedia

↑予備役制度の説明とか、すごく詳しく書いてあった。