石油ストーブと湿度

灯油1Lを燃やすと水が1L発生する、だから加湿はしなくてよいと言われる。

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また,14 wt%の水素を含むため,1 リットルの灯油が燃焼すると1リットルの水分が発生するので,加湿の必要性はないが, 多量の酸素を消費するので換気には十分な留意が必要である。

灯油の主成分は C が9〜15個の飽和炭化水素(アルカン)である。C14H30(テトラデカン)より分子量が大きいやつは融点が0℃を超え、寒いと固まったりするはずなので、実際には C9H20(ノナン)や C10H22(デカン)あたりの割合が多い気がする。

アルカン (データ) – Wikipedia

仮にデカンを考えれば、デカン1分子が燃えると水が11分子できる。1 mol で考えると、デカン 142g が燃えると水が 198g できる。デカンの密度は 0.7g/cm3 とのことなので、体積でいうと、デカンが 203cm3 燃えると水が 198cm3 できることになり、石油学会 web サイトの記述は正しい。

しかし俺の部屋で石油ストーブ(正確には石油ファンヒーター)を焚いてもなかなか湿度は上がらず、肌がかさついて辛い。

俺の部屋の容積は 3×3×2.5m = 22.5m3 で、1Lの灯油を燃やして 1L の水が出れば、単位容積あたりの水蒸気量は 44.4g/m3 くらい増えるはず。

ストーブの温度設定は 22℃ にしている。22℃の飽和水蒸気量は、中学理科で習うあの図表:

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から 19.4g/m3 であるから、俺の部屋を湿度200%にするくらいの水が石油 1L から発生しているはずなのに、実際には30-35%くらいから上がらない。

考えられる原因は2つ。一つは、部屋の気密性が悪く、乾燥した外気がツーツーになっている可能性。昭和の木造建築なのでありうる。

もう一つは結露。いくら部屋の水蒸気量を増やしても、キンキンに冷えた窓ガラスが存在していると窓で結露して空気中の水蒸気を奪ってしまう。

室温が22℃で湿度が30%以上に上がらないとすると、そのときの水蒸気量は 19.4g/cm3 × 0.3 = 5.82g/cm3 であり、この量の水蒸気の露点は上の図表から約3℃となる。もし窓ガラスが3℃以下であれば、湿度が上がらない理由は結露で説明できる。

ここ1、2週間の当地の最低気温は、

気象庁|過去の気象データ検索

わりと暖かい日で3℃、寒い日は-2℃という感じなので、結露のせいで湿度が上がらない説がやはり有力。こういう状況で、窓ガラスに何も対策せずに加湿器などを導入しても、結露を増やすだけで全く意味がない。

ということで、窓を何とかせねば。