大正あたりが舞台のラノベの校正で、「経験値が足りない」という台詞が出てきた。自分の感覚では、経験値という言葉は RPG が由来で、1980〜1990年代以降に出てきたと思う。新参の言葉だという感覚はもう薄いか。
手元の広辞苑第七版には意外にも「経験値」が載っているが、語義は「これまでの経験から推測して得られる値」。ゲーム由来の意味とは異なり、「〜が足りない」「〜が上がる」のように使うものではない。これは「経験則」などの類義語として、経済分野などで昔から使われていたものらしい。へー。
今日ではコンピュータゲームでの用例が多いが、それ以前にも違う意味で使用されていた[2](後述)。
経済・統計用語
『広辞苑(第六版)』では、「これまでの経験から推測して得られる値。」と記載されている。「経験値」という言葉はコンピュータゲーム(以下、「ゲーム」と略)が日本で一般的になる以前から経済や統計の用語として専門書や新聞の記事で使われており、1983年5月12日付の日本経済新聞には「石油危機後の経験値によれば、原油市場価格はOPECの余剰率(原油生産能力の未稼働率)と反比例する。」との記述がある[2]。広辞苑の説明はいわば「古典的な意味での経験値」の説明である[2]。
ゲーム由来の用例については、わざわざ「経験*値*が足りない」と言わなくても、「経験が足りない」でよくない? と思うことも多い。「関係性」という言葉も、昨今目にするほとんどの用例なら単に「関係」でよくない? と思う。