久しぶりに

父の夢を見た。二度寝をして眠りが浅かったせいだろう。

元気だった頃の姿で、普通に家に帰ってきてステテコ姿になって酒を飲みながら明るくいろいろと話していた。俺は、父が既に死んでいることを夢の中でも分かっていて、でも面と向かって父に、「え、もう死んでるよね?」と聞くこともできなくて、奇妙な気分で受け答えをしていた。

父が俺のそばに来たときに、思い切って父の体に触れてみたら、手がふわりと通り抜けるようなこともなくて、ちゃんと触覚があって、父の体温も感じられた。その途端に堰を切ったようになって、「何でだよ」と言いながら泣いていた。父は何の感情も浮かべない表情で、話すのをやめて静かにずっと向こうを向いていた。そこで目が覚めた。目が覚めた後も少し泣いた。

父が死ぬ前も死んだ後も、これまで一度も泣いたことはない。そういえば、出棺の前に親戚に向かって挨拶をしたときに少しこみ上げるものがあった。あれはああいう状況で原稿を読めば、自分の感情と関係なく誰でもそうなるものだと思う。結婚式の両親への手紙みたいなものだ。あれから1年半経って、初めて泣きたい気持ちが湧いてきて泣いた。これまで抑圧していたのかどうか、自分ではよく分からない。