「瞑想する人ほど老化が遅い」というGIGAZINEの記事。
記事に書かれている通り、「超越瞑想 (TM)」というのを最初に言ったのはインドのマハリシ・ヨギという人物で、ビートルズのジョージ・ハリスンが彼の信者として傾倒したことでも知られる。
ジョセフソン効果の発見で江崎玲於奈などとともに1973年のノーベル物理学賞を受賞したブライアン・ジョセフソンもヨギの思想に嵌まり、超能力や超心理学を研究するなど、完全におかしくなった。
上の VOICE の記事でも触れられている通り、マントラを唱える瞑想とか空中浮揚とか、この手のニューエイジカルチャーや自己啓発はオウム真理教の元ネタの一つでもあり、カルトとの親和性が非常に高い。GIGAZINE の記事を書いたライターはそういうTMの歴史や危うさを知っているのかいないのか不明だが、もう少し注意深く扱うべきだろうと思う。
しかも、記事で取り上げている論文は、あの悪名高いMDPIの論文誌に投稿されたものである。
MDPIはオープンアクセスのオンライン論文誌をたくさん出している企業で、掲載料さえ支払ってくれればろくに査読をせずに何でも載せますよ、というビジネスで有名。いわゆる「ハゲタカジャーナル」の運営元である。
まともな研究者はわざわざMDPIのジャーナルには投稿しない。投稿するのは投稿する「理由」がある人々(他の雑誌では掲載を断られるトンデモ論文をどうにかして論文誌っぽいところに掲載し、「referred journal への掲載実績」を粉飾したい人々)だけ、というのが共通認識になっているはず。
オウムの事件から30年経って、やっぱり世代が入れ替わると風化は避けられないんだろうなと思う。オウムの後継組織は今も活動しているし、統一教会をはじめ、オウム以外のカルトも至るところで無害な同好会や自助グループの顔をして、自分探しをしたい無邪気な若者や精神的に弱っている人たちを待ちかまえている。メディアに携わる人々も、気を付けて仕事をしないといけない。
ついこないだも、自分がお手伝いをしているメディアで編集部が紹介しようとしていた商品が、実はカルト団体が資金源として販売している代物らしいことが分かって記事がボツになったということがあった。本当に、一見無害な顔をしてあちこちにそういうものがあります。