Webから本を注文し、近くの書店で受け取れるというサービスがいくつかある。大手取次のトーハンがやっている「e-hon」、日販がやっている「Honya Club」が代表的。代金は受け取る書店で支払うため、書店の売上になり、地元の書店を応援できるという趣旨。送料も無料。
amazonの台頭によって中小の書店は絶滅しつつあるが、やっぱり町の本屋は文化資本として消えて欲しくないと思う人たちの間で、こうしたしくみがちょくちょく注目されている。
すぐに必要な本は amazon で買うが、急ぎでない本はこういうのでもいいな、amazon 嫌いだし、と思って e-hon と Honya Club のアカウントを作ってみたが、本の受取場所として選べる書店を見てみると、うちの市内では e-hon はわずか1店、Honya Club は3店しかなく、イオンに入っている未来堂書店とか蔦屋とか、結局大手資本の書店しか選べない。地元に昔からある老舗の2店はリストに入っていなかった。
未来堂とか蔦屋は放っておいても潰れないし、品揃えの面でも大して本への愛を感じない店たちなので個人的にはどうでもよい。どうせなら子供の頃から世話になった商店街の本屋を応援したいのに、そういう店を受取先として選べないのはなぜだろうと思い、実際に店に赴いて尋ねてみた。(ついでにそれぞれの店で本の取り寄せも依頼。)
地元駅から一番近いA店。別冊 Newton の品揃えが豊富。
「(e-hon や Honya Club の存在を)よく知らない。聞いたことがない」「販売量が多い店でないと、そもそも取次からそういうシステムの話を勧められないのではないか」。
A店の次に駅に近いB店。国土地理院地形図も扱っている。
「e-hon はずいぶん前から存在は知っていて、加盟しようと思ったこともあったが、確か金を取られるしくみだったような。それでやめた気がする。今はどうなっているのか分からないですが」「加盟するときに登録料を取られるのと、その後も8,000円だったか、売上が立つごとに手数料を取られるとか、そんな感じだった」。
これらはそれぞれの店主さんがおっしゃったことなので、勘違いや間違いがあるかもしれない。もし本当にそうなら、取次が言う「本屋を応援する」という趣旨とはかけ離れているというか、零細書店にしてみればあまりメリットを感じないかもしれんなぁという感じ。
B店の店主さんは「うちみたいな店を気にかけていただいてありがとうございます」「弱小なもので…」と恐縮されていた。
ただし、どちらの店の人もあまりネットだとかは得意でなさそうで、こういうしくみ自体に興味がない可能性もある。両店は学校教科書の指定販売店でもあり、春の教科書販売でどっさり売上が立つので日々の商売をあんまり頑張らなくてもいい、という空気も感じる。B店には某巨大新興宗教の本もたくさん置かれており、そちらだけでも食っていけるのかも。
一応、e-hon と Honya Club にも「こういう話があったけど」という質問をした。返事待ち。