クラウドファンディングが話題。目標1億円だったが、現時点で4億8000万円(!)を超えている。
https://readyfor.jp/projects/kahaku2023cf
ただでさえそんなギリギリの運営体制だったところに、襲い来たコロナ禍。入館料収入は2019年度は約7.5億円のところ、2020年度には約1.5億円まで落ち込み、大きな影響を受けました。
さらに、ここ最近の光熱費や物資の高騰が状況に追い打ちをかけています。
- 物価高による保管容器や保存液(エタノール等)等の高騰
- 建築資材や人件費などの高騰による収蔵庫建築費用の大幅な増加
- 光熱費の高騰(もともと億単位の額を要していたものが、2023年は、2021年と比べて約2倍の費用がかかる見込み)
など複数の打撃が重なり、自助努力や国からの補助だけでは到底追い付かず、その皺寄せは当然かはく内の事業費・研究費削減等にも及んでいます。
結果として、標本・資料の収集や維持管理のための費用も削減、標本・資料の新規受け入れを断念せざるを得ないケースもいよいよ増えています。
地球の宝を守れ|国立科学博物館500万点のコレクションを次世代へ(国立科学博物館 2023/08/07 公開) – クラウドファンディング READYFOR
返礼品もかなり完売している。twitterを見ていると、隕石アクセサリーの人気が凄かった。法人向けの1000万円・500万円コースも完売。11月5日までの募集なので在庫の追加も検討しているようだ。
まあ、こういうのは特別なプロジェクトとしてやるのではなく、恒久的にどんどんやればいいんだと思う。寄附制度はこれまでにもあったけど(たいていの大学・研究機関・美術館博物館にはあるのだが)、あまり知られていないようなので。
https://www.kahaku.go.jp/about/donation/index.html
個人的に、科博について子供の頃から違和感があるのは、ここって科学博物館というよりは「自然史博物館」だよね、という点。自然科学を高校理科っぽく分けると物理・化学・生物・地学とあるわけだが、科博は圧倒的に生物・地学の標本置き場という感じで、物理・化学や天文学・工学・情報科学・数学なんかの展示は、あるけどずっとずっとずっと少ない。「もの(標本)」ありきなんですよ。アーネスト・ラザフォードの「全ての科学は、物理学か、あるいは切手蒐集だ」という有名なdisがあるが、科博は切手蒐集の方。標本がない分野でも概念や実例を楽しめる展示はいくらでも作れそうだが、科博にはそういうのがあんまりない。なので、あの内容で「科学」全般を名乗っているところにずっと違和感がある。標本のレベルは凄いし、標本の研究から生まれる科学ももちろんたくさんあるんですけど。
建物の構成も、本館が「日本館」で主に日本列島の自然史を扱い、新館が「地球館」を名乗っている。これで全部。じゃあ宇宙の展示が見たい人はどこに行けばいいの? と思うじゃないですか。なんか微妙というか、切り分け方が古臭いというか。もう少し真の意味での「科学博物館」にならないもんかな、と思っている。