恋文や交換日記が晒されていて、その生々しさをキモいと評する人もいるようだが、自分はあの文面の純粋さに感動した。与謝野晶子の『みだれ髪』にも匹敵する美しい文学だと思う。
人間には理性と感情というか、社会性と愛欲というか、そういうのが両方とも必要で、前者だけでは機械に、後者だけでは獣になってしまい、どちらも人間ではなくなってしまう。いつの時代も、この両者の相剋が数多の芸術を生んできた。彼女の手紙を読んでキモいとしか思わない人は、後者が欠けているという意味で、それはそれで人間性を失ってしまっているのではないか。