7/8(月)
取材のお仕事。真綿でくるまれるような暑さ。水分補給が捗る。少しだけ日向を歩いたが、その20〜30分だけで日焼けした気がする。
たまたま目的地が虎ノ門だったので、父の仕事場があった場所を歩いてみる。親に連れられて子供の頃に何度か訪れたが、あの頃の風景はもうない。Google ストリートビューの過去画像にも残っていない。父の会社があった一帯は再開発されて虎ノ門ヒルズになった。会社の前の道だけ、辛うじて昔と同じ場所を通っている。
虎ノ門は森ビルのお膝元で、「第○森ビル」という番号の付いたオフィスビルが昔たくさんあった。パソコンもプリンターもなかった時代、オフィスや官公庁で使われる大量の文書や冊子、名刺などを作る軽印刷の需要があり、オフィス街の周辺には必ず印刷所や製本所、紙屋などがあった。父の会社もその一つ。隣はインキ屋だったのを覚えている。今では虎ノ門の森ビルの多くは解体され、現在の森ビル株式会社が手掛ける虎ノ門ヒルズの施設群に生まれ変わっている。
父の会社の向かいには第9森ビルがあり、その横から愛宕神社の森と東京タワーの先っぽが見えたのを覚えている。埼玉の小学生にとっては、父の会社に遊びに行くときにだけ見られる新宿の超高層ビル、丸ノ内線四ツ谷駅の先で見える上智大学のグラウンド、瞬間停電する銀座線、東京タワー、地元にはない「横断禁止」の道路標識など、何もかも都会的でカッコ良かった。周辺の様子は様変わりしたが、東京タワーが見えた場所は今でもビルの谷間となって残っていた。
場所を考えると父の印刷所も家賃は安くなかったと思われ、経営は大変だっただろうなと思う。