今年はツタンカーメン王墓の発見100年、シャンポリオンによるヒエログリフ解読から200年ということで、古代エジプトが熱い。
高校生の頃にヒエログリフの本を図書館で見つけて少しはまったが、読み方はあまり身につかず、忘れていた。改めて、カルトゥーシュの名前くらいは読めるようになりたいと思っていろいろ検索。
日本語で書かれたヒエログリフの解説は以下のウェブサイトの連載記事がまあまあ詳しい。本になるとも聞いたが、どうなったのだろう。
古代エジプト語のヒエログリフ入門:ロゼッタストーン読解 | 未草
王の名前のヒエログリフ表記は下記のサイトにまとまっている。古代エジプトのファラオは5種類の名前を持っているが、そのすべてを表記揺れまで含めて網羅していて便利。碑文や壁画に書くときのスペースの広さや装飾性を出したいといった目的の違いに応じてだと思うが、同じ王の名前でもいろんな書き方がありうることが分かる。
Pharaoh.SE – The names of the Pharaohs
5種類の名前のうち、即位名 (prenomen) と誕生名 (nomen) がカルトゥーシュで囲まれて書かれる。ツタンカーメンやラメセスなど、世界史に登場する王名は誕生名の方。碑文や壁画では両方並べて書かれることが多いが、スペースが少ない場合には誕生名ではなく即位名の方だけを書くことが多いようだ。ツタンカーメンでいうと、( 𓇋𓏠𓈖𓏏𓅱𓏏𓋹 )| トゥトアンクアメン ではなく、( 𓇳𓆣𓏥𓎟 )| ネブケペルウラー の方。
ヒエログリフのアルファベット(1子音の文字)の一覧表はよく見かけるが、実際には2子音・3子音を表す文字も頻繁に使われ、表音文字としてでなく表語文字としての使い方や決定符(漢字の部首のようなもの)や送り仮名のような用法もあり、アルファベット表だけではあまり役に立たない。英語版 Wikipedia には、これほぼヒエログリフ辞典だろ、というくらいにそれらが網羅された記事があり、これも有用。ただし目的の文字を引くのが初心者にはなかなか難しい。字の形で探すしかないので。
List of Egyptian hieroglyphs – Wikipedia
上のサイトを見ると分かる通り、ヒエログリフの文字は今やすべて Unicode に収録されていて、コンピューター上で書くことができる。ただし、単に Unicode の文字を書くだけだと、𓈖𓄿𓎡𓄿𓈖𓍯𓏏𓄿𓂋𓍯 のように一列にしか書けない。実際には文字のサイズに合わせて上下2段(縦書きの場合は左右2列)に収めるような書き方をするのが普通で、そういう配置を可能にする制御文字も Unicode 12.1で定義されているが、対応している環境が少ないようだ。そうしたフォント・組版に関する情報。
コンピュータにおける古代エジプト語ヒエログリフの実装 – Qiita
配置まで含めて綺麗にヒエログリフを書くには、専用ワープロソフト JSesh を使うのがよい。画像での出力、Unicode でのペーストが可能。ただし自分の環境では、Unicode でのペーストは制御文字非対応で一列にしかならなかった。